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第89章 　 　　 　　　　 　

「違う？　じゃあなんで、こんなに濡らしている？」

　ヴィヴィを問い詰めながら、その両膝を片手で押さえ込んだ匠海は、もう片方の手で自分のバスローブの紐を解いていた。

「そ、それは、お兄ちゃんが……、　あっ　や、あ……っ　だめぇ……っ」

　濡れそぼった膣口に何か熱いものを感じ取った瞬間、ヴィヴィの浅いところに兄の亀頭がぐにゅうと捻じ込まれた。

（そ、そんないきなりっ！？　あっ　あ、だめ……っ！！）

　突然銜え込まされた匠海の逞し過ぎる亀頭に、ヴィヴィの蜜壺がまるで侵入を拒む様にぎゅうと締まった。

「ああ……、きつ、いっ　うぁっ　そんなに、締め付けっ　――っ」

　匠海はそう苦しそうに発しながらも、体重を掛けて一気に最奥めがけて腰を落とした。

「やぁああっ！？　あっ　あ―――っ！！」

　めりめりと音がしそうなほど強引に抉じ開かれた膣壁に、ヴィヴィは一瞬の内に全てを暴かれ、抉られ、高みへと昇り詰めさせられた。

（あっ　あ、ああ、イっ　ちゃった……）

　膣壁の後ろ側全体に重さを感じる程、匠海の肉棒は太くて逞しくて。

　そしてそれにすがる様に纏わり付き、“柔らかいのに硬い兄”に吸い付く様にうねる膣粘膜。

「……――っ　くっ　……ぁ、締まるっ」

　妹の両膝を押え付けたまま、眉根を寄せて射精感を堪える匠海を、ヴィヴィは呆けて見上げていた。

（……かっこ、いい……、お兄ちゃんって、本当に、色っぽくて、綺麗で……）

　男にしておくには勿体ないほど長くて濃い睫毛がきめ細かい肌に影を作り、彫りの深い切れ長の瞳の端が赤く色付くさまに、ヴィヴィの視線が釘付けになる。

　達したばかりで弛緩したヴィヴィが、ぽへ～っと夢見心地で兄の端正な顔を見上げていると、それに気付いた匠海が何だかバツの悪そうな表情を浮かべた。

「入れただけでイくとは……、やっぱりヴィクトリアは、本物の淫乱だな？」

「……――っ　ご、ごめん、なさい……っ」

　急に現実に引き戻されたヴィヴィは、自分だけ先に達してしまった罪悪感に、泣きそうな顔で匠海に謝る。

　兄は本当に美しい男。

　その兄に厳しくされると、より一層凄味が増し、容赦なく胸に突き刺さる。