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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第18章
「ただし! 一週間だけですからね。それ以上そんなことを続けていたら、確実に体を壊しますから」
「うんっ!! ありがとう朝比奈。大好きっ!」
自分の無断外出に協力してもらうために朝比奈を説得するのに、少なくとも三日はかかると読んでいたヴィヴィだったが、執事は何も聞かずに助けてくれという。
ヴィヴィは大きな声で感謝を述べながら朝比奈のスーツの胸に飛び込んだが、「主人が使用人に抱き着くんじゃありません」とぴしゃりと叱られて、速攻体を離された。
「ふぁ~い……。でもさ~私が車の免許取れる年齢だったら、いつでも好きな時に外出出来るのにね……。早く大人になりたい~」
しぶしぶ朝比奈から離れたヴィヴィは、そう言って頭の後ろで両腕を組んで唇を尖らせたが、
「勘弁してください……。お嬢様が車の免許を取られたら、私や使用人一同は毎日肝を冷やしっぱなしですよ」
そう返してきた朝比奈にヴィヴィは「どうして?」と首を捻る。
「まず、お嬢様は落ち着きがないですからそこら中で事故られていそうですし、無鉄砲ですから無断外出し放題になりそうで怖いです」
先ほどまでヴィヴィを「主」と称えてくれていた執事とは同一人物とは思えない物言いに、ヴィヴィは不満そうに「なんだと~っ!」と拳を握りしめて喚いたが。
それを面白そうに眺めている朝比奈の眼鏡の奥の優しい瞳に気づいた時、ふうとため息をついた。
「分かったよ~。もし免許取れても、クリスかお兄ちゃんに隣に乗ってもらうから」
「ぜひそうして下さい」
そうして結局無断外出の理由を一つも漏らすことなく、朝比奈の協力を得たヴィヴィは今リンクに立っている。
(ルッツ後にストリングスが奏で始める所で、止まって外八文字を入れよう……)
左手は腰の輪郭の上を滑らせながら、右手は腰から肋骨の上を辿り胸の谷間を通って手の甲で斜め上を向いた顎を撫でて悩ましげに頭の上へと上げる。
十分な溜めを作りヴィヴィは滑り出す。
トリプルサルコウ、ダブルループ、ダブルループのコンビネーションジャンプの後にイナバウアーからのトリプルトゥーループを入れる予定だ。