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第89章 　 　　 　　　　 　

「お兄ちゃんっ　は……？」

「……なにっ」

　妹の質問にそう短く返してきた兄に、ヴィヴィはわざとゆっくりと匠海の陰茎を迎え入れ、そしてその最奥の子宮口にぴったりと亀頭の先を押し付けた。

　そうするとやはり、まだ青いヴィヴィのそこは鈍い重みを感じるが、それでも今の自分はそうしたかった。

　自分の一番奥――兄が喜ぶそこに自分で擦り付け、匠海をこれ以上ないほど誘惑しながら、確認したかった。

　――まあ要するにその時のヴィヴィは、後から思い返すと相当調子に乗っていたのだと思う。

　そして薄い唇から零れたのは、砂糖菓子の様に甘ったるく、媚びた少女の声。

「お兄ちゃんは、ヴィヴィのこと……、ヴィヴィのこと、好きぃ？」

　ヴィヴィの華奢な肩から長い金色の髪が、兄に向ってさらさらと零れ落ちていく。

　そして“とどめ”とでもいう風に、潤んだ瞳で縋り付くように匠海の瞳を覗き込む。

　けれどそんなヴィヴィに兄から返されたのは、予想外の返答だった。

「……――っ　ぶっ殺すっ」

　絶句した後に兄がヴィヴィに投げつけたのは、そんな酷過ぎる答え。

　想像の斜め上を行く匠海の反応にヴィヴィは脱力し、そしてやはり苦しかった子宮口から兄の亀頭を少し引き抜いた。

「……えぇ……っ　こ、殺されるぅ……　orz」

　情けない声でそうぼやいたヴィヴィは、匠海の胸の上でがっくりと項垂れてみせた。

（ちぇ……っ　やっぱり駄目かぁ……）

「馬鹿っ　もう、ああっ　もうっ　くそ……っ」

　散々そう口汚くヴィヴィを罵った匠海だったが、妹を突き放すどころか逆にその胸の上に華奢な躰を抱き込んだ。

「お兄ちゃん、酷い……。ヴィヴィ、まだ死にたくないよ……」

　そう冗談めかしてヴィヴィがしょげてみせると、さすがの匠海も酷かったと思い直したらしい。

「…………悪い」

　ぼそりと謝ってきた兄に、ヴィヴィは小さく首を振ると「ウソ……、気にしてない」と苦笑した。

　しばらくそうして抱き合っていた２人だったが、匠海はもう我慢が出来なかったらしい。

　ヴィヴィを胸の上に乗せたままその細腰を掴み、器用に下から突き上げてきた。