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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第90章           

「むぅ……。ヴィヴィには無理だっていうの~?」

 そう拗ねて唇を尖らせたヴィヴィに「まさか」と囁いた匠海は、その艶々の唇にちゅっと口付けた。

(ふにゃんっ!?)

 心の中で変な声を発して喜んだヴィヴィに、匠海が「それで?」と先を促す。

「ん……。高畑さんに役作りとして『ヴィヴィが思う、身近なそういう人を観察すれば?』って言われて。ヴィヴィにとってのそれは、お兄ちゃん、だから……」

 振付をお願いした、現在33歳のプロスケーター 高畑大輔の助言を思い出し、ヴィヴィはそう説明した。
 
「で……、俺を、観察しようと?」

「うんっ」

 そう満面の笑みを浮かべて頷くヴィヴィに、匠海が不思議そうに返してくる。

「俺ってヴィクトリアから見て、カッコいいの?」

「うん。カッコいいし、綺麗だし、色っぽいよ。……意地悪だけど」

(あれ……? ヴィヴィって今迄、心の中で思ってても、あんまりお兄ちゃん本人に伝えてないかも……?)

「ふうん。でもそういう外見だけでいいわけ?」

 匠海は満更でも無さそうにそう言いながらも、少し不服そうな表情もしていて、ヴィヴィは内心首を傾げた。

「ううん。お兄ちゃんは、優しいし、面倒見いいし、頼りがいあるし、人の事よく見てるし、ヴィヴィ尊敬してるの。……意地悪だけど」

 2度も語尾に“意地悪だけど”と付け加えた妹に、匠海は眉を眇めてみせる。

「おい……。本当に尊敬してるのか、それ?」

「うん、尊敬してるし、ヴィヴィはお兄ちゃんのこと、大好きっ」

 ヴィヴィは素直にそう告白すると、にっこりと笑った。

(意地悪なところも全部含めてね~? 変態なところはちょっと、いやだいぶ嫌だけど……)

「可愛い事を言ってくれる」

 そう囁いて嗤った匠海は、ヴィヴィの踝丈のナイトウェアの裾を手繰り寄せ、脚の付け根に大きな掌を這わせた。

「あっ ……ぁんっ だめぇ……」

 するすると、ヴィヴィのショーツの中に手を忍ばせてくる匠海の腕を、ヴィヴィは両手で握った。

「早く眠くなるように、おまじないだよ」

 にやりと嗤いながらも兄のその指先は、ヴィヴィの金色の茂みを掻き分け、小さな肉芽を弄り始めた。

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