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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第90章
しかしサムソンは懺悔して神に誓い、髪が伸びると共に力を取り戻す。
そして神殿での宴の余興として晒し者になっていたサムソンは、柱を倒して敵の神殿を倒壊させ、多くのペリシテ人とデリラを道連れにして自害した。
ヴィヴィがFPで主に用いるのは“バッカナール”という音楽。
敵の宴の様子を表した曲で、音楽単体としても演奏会で取り上げられるなど、認知度も人気も高い。
「ふうん。まあ、一番盛り上がるし、有名だもんな」
匠海はシャンパンの気泡を見つめながら、そう呟く。
「うん。で……、“バッカナール”ってバッカス(酒の神)を称える祝宴の踊りの曲、でしょう?」
ヴィヴィはシャンパンの残りを注ぎながら続ける。
「ああ。ヴィクトリア、お酒飲んだことないのにな?」
くしゃりと頭を撫でてくる兄に、ヴィヴィは微笑む。
「うん、そうなの。だからって、今からお酒飲むのまずいでしょう? まだ17歳だし……。それで、どんな感じなのか、聞いてみたくって」
「お酒に酔った時?」
「うん。クラクラするの? ハイになっちゃう? それとも、楽しい感じ?」
兄を覗き込みながら興味津々に尋ねるヴィヴィを、匠海がその手からボトルを取り上げて見下ろしてくる。
「ふっ。勉強熱心だな。じゃあ、躰で教えてやる」
「え……? な、何?」
ヴィヴィは匠海のおかしな様子に目をばちくりさせる。
(言葉で教えてくれたらいいだけ、なんだけど……?)
「俺は食欲と性欲は、紙一重だと思っている。酒を飲んだ時の “酩酊状態” や宴の “トランス状態” っていうの――? だからセックスでハイになってクラクラするのが、どんななのかを感じ取ればいいんじゃないか?」
その匠海の突飛な言い分に、ヴィヴィは飛び退いた。
「……――っ!? そ、そんな無茶苦茶な……っ!」
「お前だって、やる気満々なくせに」
面白そうにヴィヴィににじり寄ってくる匠海のその言葉に、ヴィヴィは首を傾げる。
「え……? 何のこと?」
「知らないのか? ジャスミンの効能」