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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第90章           

(え? ジャスミン……?)

「え? 効能……? えっと、抗鬱、鎮静、血液浄化、抗菌……」

 ヴィヴィはジャスミンの缶に書かれている効能を読み上げるが、その最後に書かれていた単語に大きな瞳を見開いた。

「さ……っ 催淫――っ!?」

「そう。ジャスミンは催淫、子宮刺激、不感症……。それに勃起不全にも効果があるらしい」

 ぎしりと革が軋む音を立て、また匠海がヴィヴィに近付いてくる。

「し、ししし、知らなかったんだもん……っ ホントだよっ!?」

「俺も飲もうかな? 勃起不全か~」

 そう言って、ヴィヴィの淹れたティーポットを見やった匠海だったが、残念ながら中身はもう空だった。

「ひぃ……っっっ!! の、飲んじゃダメっ」

 ヴィヴィは缶を放り出すと、ソファーの隅まで後ずさる。

「どうして? お前だって沢山、可愛がって欲しいだろう?」

「け、結構ですっ!」

(お兄ちゃん、超絶倫じゃないっ! こんなの飲ましたら、ヴィヴィ、一睡もさせてもらえないかも……っ)

 目を白黒させるヴィヴィを、匠海がさらに追い込んでくる。

「子宮刺激に不感症か……。ヴィクトリア今日、乱れまくるんじゃないか?」

「……~~っ!? やぁあっ きょ、今日は、やめておこう……、ねっ?」

「何を馬鹿なことを。日・月、抱いてないんだからな? たっぷり相手してもらわないとなあ~?」

 そう恐ろしいことを言ってにたあと嗤った匠海の中に、ヴィヴィは恐ろしい魔物を見た。

(お……、鬼っ 悪魔っ 悪霊退散……っ 南無阿弥陀仏……っ)

 ヴィヴィがそう現実逃避をしているうちに、匠海はテーブルの上の物を片付け、ワゴンに乗せて廊下に出してしまった。

 そして逃げようとするヴィヴィをひょいと荷物のように肩に担ぎ上げると、寝室へと入っていく。

「ひぃいっっ!? た~す~け~て~っ!」

 ヴィヴィはそう細い悲鳴を上げたが、ベッドにぽいと放られ、匠海に馬乗りになられてしまった。

「やっ お兄ちゃん、怖い~っ」

(いつも以上にえっちな顔してる~っ)

「怖くない。ほら、キスしよう」

 両手をベッドに縫い付けるように拘束され、ヴィヴィは兄に簡単に唇を許してしまった。

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