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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第91章
「ここ、もうちょっと大人っぽくしたいよな~……」
マイクのその呟きに、ヴィヴィも頷いて同意する。
ソロの二人が中央で片手を繋ぎながら、皆と同じステップを踏む。
「1and2and1,2,3、1and2and1,2,3」
ヴィヴィは音楽に負けないように声を出してカウントする。
曲の盛り上がりに沿って、両足を交差した状態で踵を左右に打ち鳴らすそれは、全員で行うと見ているほうまで鳥肌が立つほどカッコいい。
最後は皆が前方へとステップを踏みながら歩み出て、フィニッシュ。
約5分の舞台だが、曲が鳴りやむと皆が一斉に「「つ、疲れた……」」と呻きだす。
皆が軽く休憩を取る間、ヴィヴィ達は男女ソロの振り付けを改良することにした。
「う~ん。もっと色気が欲しい」
ずばりそう言ったマイクに、カレンが「ええっ!?」と驚きの声を上げる。
「カレン、せっかく上手に踊れるんだから、もっと際立たせたいんだよね~……。あっ そうだっ!」
ヴィヴィはそう言うと、ぴょんと舞台の上に飛び乗った。
「クリス、右手でヴィヴィの腰持って。で、互いの左手は繋ぎ合せて、ヴィヴィは……って言うかカレンがクリスの首の裏に右手を添えると。……で、ぐるぐるする~」
実際にそうホールドを組んでくるくる回ってみせると、それを見ていたカレンが真っ赤になった。
「え……っ!? え……、は、恥ずかしい……っ」
ヴィヴィは、自分はアイスショーで男女ペアで踊ったりするので、腰を持たれたり相手の体に触れながら踊るのは慣れっこで、カレンのその気持ちはよく分からなかった。
「そう? あ、クリス。カレンには『脇腹くすぐりの刑』はやっちゃダメだよ~?」
そう悪戯っぽく念押しするヴィヴィに、クリスは肩を竦めてみせた。
「する訳ない……。カレンはいい子、だから……」
そう言ってヴィヴィから手を離したクリスは、有無を言わさずカレンの手と腰を取り、ホールドを組んだ。
「あ、いいねえ~」
くるくる回って見せるクリスとカレンに、ヴィヴィは満面の笑みでうんうん頷く。
「二人とも長身だから、舞台映えするな」
マイクもそう言って2人を褒め称えた。