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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第91章
自分の机に両手を突いてそう追及してくるカレンに、ヴィヴィはこてと首を傾げる。
「 “ウリ” ?」
「援助交際っ」
カレンのその返事に、ヴィヴィはぷっと吹き出した。
「あはは。誰がヴィヴィなんか買うの? こんなつるぺたなのに~」
そう言って悲しそうに平らな自分の胸を見下ろすヴィヴィに、カレンが凄い勢いで言い募ってくる。
「みんな買うよ、あんたならっ 世界中の富豪が入札しまくるわっ!」
何故かそう力説するカレンに、ヴィヴィは不思議に思いながら呟く。
「ふうん……。やっぱ制服って、すごいんだね……」
(へえ……。ヴィヴィは制服って規律の象徴とか、清廉なイメージしかなかったけど。世の中にはお兄ちゃん以外にも、いっぱい変態さんがいるんだねえ……)
ヴィヴィはそんな酷い事を思いつつ、ワンピの首元から覗いた白い襟を指先で弄りながら嘆息する。
「いや、そ、そうじゃなくて……」
何故かどもって突っ込んでくるカレンに、ヴィヴィはきょとんとしながら親友を見上げる。
「……? そうじゃなくて?」
「ん~……、ヴィヴィって確かに『お子ちゃま』だけど、フィギュアの女王で誰もが憧れてるし……。それにほら、顔も小っちゃくて手足も細くて長くて、まるでお人形さんみたいに可愛いし」
カレンがそう答えた途端、ヴィヴィの顔がさっと引き攣り、襟を弄んでいた両手は机に振り下ろされた。
「…………っ ヴィヴィ、人形みたいって言われるの、大っ嫌い――っ!!」
バンっという大きな打音と共に、ヴィヴィは日本語でそう叫ぶように発していた。
「……え……? ……ヴィヴィ?」
しんと静まり返った教室の中、目の前のカレンが驚いた表情で自分を見下ろしていた。
その親友の様子にはっと我に返ったヴィヴィが周りを見渡すと、クラスメイト達が皆、鳩が豆鉄砲を食らったような表情を一様に浮かべ、自分のことを見つめていた。
「あ……、ご、ごめん! なんでもないの~~っ」
あははと取って付けた笑みを溢しながら頭を掻くふりをしたヴィヴィは、がたがたと音を立てて椅子から立ち上がった。