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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第91章
1人取り残されたヴィヴィが不安そうに兄を見下ろすと、紺と赤のタータンチェックのスカートの腰が、匠海によって引き寄せられた。
兄の股の間に立ったヴィヴィを見上げた匠海は、その凛々しい灰色の瞳を徐々に下げ、目の前の妹の胸に顔を埋めた。
白シャツ一枚とネクタイだけの無防備なそこに感じた匠海の暖かさに、ヴィヴィはほっとして両腕を兄の頭に緩く巻きつける。
その細い腕の中で、匠海はヴィヴィの小さな乳房に頬ずりしていた。
目蓋が下りた兄の端正な顔を見下ろしながら、ヴィヴィはふっと微笑んだ。
(可愛いいの……。甘えたりくっ付いてくるお兄ちゃん、なんかほっとけない感じ……)
6歳も年が離れているのにそんな事を思うなんておかしいのかも知れないが、ヴィヴィは愛おしそうに兄の髪を指で梳き、撫で回した。
「……お前、なに笑ってる……?」
自分の胸に顔を埋めながらくぐもった声でそう言ってくる兄に、ヴィヴィは驚く。
「え? わ、笑ってなんてないよ……?」
「いや、笑っただろうが、鼻で」
閉じていた目蓋を上げた兄が、据わった目で自分を睨み上げてくる。
「えぇ~……」
(濡れ衣だよぉ~~……)
もし笑ったとしても、それは変な意味でじゃないし、こんな睨まれるような事でもない筈だが。
「……ヴィクトリアの胸は、ふよふよしてて、すごく柔らかいんだけど――」
そう言って高い鼻の先でシャツ越しにぷよぷよ乳房を突かれ、ヴィヴィは恥ずかしくて頬を染めた。
「……っ や、やだっ」
「ふ……。知ってるか? 成長中の胸は硬いんだぞ?」
「………………へ?」
兄の訳の分からない話の展開に、ヴィヴィは束の間の沈黙の後、変な声を上げた。
「けれど、お前の胸は物凄く柔くて気持ちいい……。なんでだろうな……?」
そう囁きながら右の乳首にちゅうと吸い付いた兄を見下ろしながら、ヴィヴィは絶句した。
「……――っ!?」
(んな゛っ!? そ、それって……、それってっ ヴィヴィ、これ以上、お胸大きくならないってこと――っ!?)
「う、うそぉ~~……」
兄の頭を軽く抱きしめていた両手で自分の金色の頭を掻き毟る様に抱えたヴィヴィに、匠海はくっと悪そうな笑みを零した。
「ふ……っ 俺を笑った罰だ」