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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第91章
(制服……のせい……?)
それしか理由が見当たらなかった。
兄は自分が何かを纏っていると、最後には全てを脱がせ、生まれたままの姿で抱く。
しかし制服に限っては、何故か最後まで脱がせようとはしない。
そして何故だか分からないが、制服を着ていると『鞭』を与えてこない。
(……なんか、よく分からないけれど……。もう……、いいや……)
ヴィヴィは兄から視線を外すと、ふっと小さく息を吐いた。
“最強の武器”
それを見つけて有頂天になっていた自分。
けれどそれは兄を苦しめるものだった。
自分は別に、兄に勝ちたいわけではない。
じゃあするべき事といえば、1つしかないではないか。
ヴィヴィは脇に投げ出していた両腕をゆっくりと上げると、自分の首元へと持って行った。
ネクタイの結び目の上に指を入れ、ぐっと下へと引き下ろす。
しゅっという衣擦れの音と共に弛んだそれを、ヴィヴィはゆっくりと襟の下から抜き取った。
(どうせ、すぐ、制服だって飽きられるんだろうし……)
そう頭の隅で思ったヴィヴィは、色んな事を少しずつ諦めていった。
兄にして欲しい――学校でそう思い浮かべていた事を。
(もう、いいや……。『鞭』、受けよう……。
後ろから顔も見られずに、人形の様に、抱かれよう……)
学校で思い浮かべていた事は、兄にして欲しい事だけじゃない。
兄にしてあげたい事――ヴィヴィにはそれがあった。
自分の拙い性戯で、幼い躰で、匠海に気持ち良くなって欲しかった。
仕事での疲れやストレスを、自分と躰を重ねることで少しでも癒す事が出来ればいい。
そしていつか、躰だけでじゃなく、言葉やその存在でも、兄の役に立てるそんな人間になりたい。
そう、3つめは、いつになっても叶わないかもしれないけれど。
白いシャツのボタンを上から外し始めたヴィヴィの両手を、匠海が上から握ってきた。
「ヴィクトリア……?」
苦しそうな表情を浮かべたまま、自分の名前を呼ぶ兄に、ヴィヴィはぼそりと返した。
「暑い……、脱ぐ……」
兄に手を掴まれながらまたボタンを外し始めた妹の両手を、匠海はその頭上へと引っ張り枕の上で抑え込んだ。
そしてその両手首を、ヴィヴィのネクタイでぐるぐると巻き、縛ってしまった。