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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第91章
何故か両手の自由を奪われたヴィヴィが、ぽかんと上に跨った兄を見上げる。
(な、なんで……? どうして……?)
ヴィヴィは兄の行動の意味が全く分からなかった。
制服を脱がれるのが嫌だったのか。
それとも――、
「……こうすると、興奮するの……?」
以前、『鞭』の日に、匠海にこうされたことがあった。
自分は拘束されなくても逃げない、そう言ったヴィヴィに兄が返した答えは、
『いいんだこれは、俺が興奮するだけだから』
「違う……。お前が脱ごうとするからだ……」
そうぼそりと返してきた兄を、ヴィヴィは困惑顔で見上げるしかなかった。
「………………」
(……もう……分かんない……)
「つまらない事考えてないで、俺だけを見てろ。俺だけを感じてろ」
今度はしっかりした声でそう命令されれば、もうヴィヴィが出来る事など1つしかなかった。
「うん……。お兄ちゃんを、感じさせて……」
ベッドサイドのランプ1つが灯った、薄暗い寝室。
ぐちゅぐちゅと卑猥な蜜音と共に聞こえてくるのは、匠海の感情を抑えた苦しそうな声。
「ヴィクトリアっ 俺だけだぞ……? 絶対に、こんなこと、他の男とやるなよっ」
その匠海に組み敷かれて、制服のまま深くまで貫かれたヴィヴィは、ぷうと可愛らしく頬を膨らます。
「やる訳ないでしょう? ヴィヴィ、他の男の人に触れられたら、吐いちゃうもんっ」
「絶対だぞ? 指一本でもお前の躰に触れさせたら、どうなるか、分かってるな?」
真上から睨み付けて凄んでくる兄に、ヴィヴィはぞっとした。
約束を守れなかった自分に兄が与える制裁――それは、
「……捨てる、の……?」
震える唇から零れたのは、こちらも震えて芯のない掠れ声。
そう、それこそ使い古した人形のように、きっと兄は自分を捨てる。
それも、立ち直れないほどボロボロに傷つけた後に。
「は? 何言ってる。お前を閉じ込めて、永遠に俺以外の男の眼には触れさせない――監禁してやる」
妹の想像と真逆の返事を寄越した兄に、ヴィヴィは瞳を細めた。