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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第91章               

「……っ ヴィクトリア……。ああ、お前は本当に可愛いよっ」

 感極まったように自分を嬉しそうに見下ろしてくる兄に、ヴィヴィも同じ様な表情を意識して浮かべる。

「お兄ちゃん……」

「信じてくれ。本当に俺は、ヴィクトリアだけだ……」

 そう囁きながら唇を重ねてきた匠海に、ヴィヴィは驚いて「え?」と呟いてしまった。

(『鞭』の日、なのに……。キス、してくれるの……?)

「昨日言っただろう。明日沢山キスしてやるって」

「……うん――っ」

 また与えられる口付けに、ヴィヴィは夢中で応えた。

 強引に割り込んでくる兄の舌になぶられ、突き回され、絡め捕られる。

 はぁと熱い吐息を吐けばそれさえも吸い込まれ、ヴィヴィは自分の全てを奪い尽くそうとしてくる兄の唇に酔った。

「ああ、厭らしい子だ、ヴィクトリア……。キスひとつで、こんなに俺を締め付けてっ」

 ぶるりと大きく躰を震わせた匠海に、ヴィヴィは両手を頭の上で縛られたちょっと間抜けな状態で口を開く。

「だって……っ」

「だって……なんだ?」

 屈み込んで自分の顔を至近距離で見つめてきた匠海に、挿入角度が変わった蜜壺がくちゅりと卑猥な音を立てた。

「す、好きなんだもん……。お兄ちゃんも、お兄ちゃんとするキスも……、お、大きいのも、全部……っ」

 ヴィヴィのその馬鹿正直な返事に、匠海がにやりとほくそ笑む。

「大きい……なんだ?」

「……っ やっ」

(そ、そんなの言える訳ないの……っ)

「嫌、じゃ分からない。ちゃんと口にしなさい」

 そう命令口調で諭されても、ヴィヴィはふるふると頭を振った。

「…………、お、お願い……っ 虐めないで……っ」

「しょうがない子だ。そんな子には罰を与えないとな?」

 ぺちと妹のおでこを叩いた匠海は、ヴィヴィに寄せていた上半身を上げ、上から見下ろしてきた。

「や、やだぁ~~っ」

 ヴィヴィは眉を眇めて兄を見上げる。

 どうやら自分は匠海の“変態スイッチ”を入れてしまったらしい。

 どこにどんな“変態スイッチ”が散りばめられているかまだ把握していない自分は、これからどれだけ兄に振り回されるのだろうと思うと、少々……いや、大分げんなりした。

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