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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第91章
「馬鹿。俺はどんなヴィクトリアだって受け止めるよ」
そう甘々な返事と共ににっこりと嬉しそうに微笑まれれば、ヴィヴィだって兄の要求に応えたくなる。
(な、なら、せめて……)
「…………、目、瞑って……?」
「嫌」
ふんと鼻息荒くそう却下した兄に、ヴィヴィはキレた。
「……~~っ お兄ちゃんっ 嫌いっ」
「ふ……っ お前は本当に嘘を吐くのが下手だな」
精一杯の反抗を一笑に付され、ヴィヴィはとうとうくしゃりと顔を歪ませた。
「――っ!? ……ふぇっ」
「泣いても駄目」
「……~~っ」
ふぇええ……とむずがる妹に、匠海は小さく溜め息を付くと、ようやく折衷案を提示してきた。
「ほら、引き寄せるだけでいいから……。抜くのは俺がしてやる」
そう言って深く収めていた陰茎をゆっくりと抜き取った兄は、妹に亀頭だけを咥えさせた状態で腰を止めた。
ヴィヴィの大きな瞳からぽろぽろと涙が零れる。
切なかった。
先程まで物凄い存在感で自分の中を埋めてくれていた兄がいなくなった、その喪失感が半端なくて。
そして先っぽだけ下の口に含まされているところに、匠海の意地の悪さが垣間見えた。
兄の腰に脚を絡ませ、自分の両脚をほんの少し折り畳んで引き寄せるだけで、その先には得も言われぬ快楽と充足感が待ち受けている。
そう鼻先に人参を吊り下げられた馬の様な今の状況に、ヴィヴィの薄い胸は切なさで締め付けられていた。
「お兄、ちゃんは、本当に……」
「ん?」
「……意地、悪……っ」
泣き声の様なそれでそう発したヴィヴィに、匠海は吹き出した。
「はっ 知ってたくせに」
笑い飛ばしながらヴィヴィの鼻をむぎゅっと摘まんだ匠海に、ヴィヴィはぷうと膨れ上がる。
(そうだよ……、知ってたよ。だってそれは昔からだもん……)
優しいけれど意地悪。
一見相反したその2つだが、兄の中には昔から同居していた。
だが、ヴィヴィはそこが好きだった。
甘いだけだと胸焼けする。
しょっぱいものが欲しくなるその絶妙な頃合いで意地悪くされると、もうその後に待ち受けているのは、きゅんと胸を締め付ける、悪戯なむず痒さ。