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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第91章
「じゃあ、ヴィクトリアの中に、一杯出させて貰おうかな。愛しい妹に懇願されたら、俺だって願いを叶えてあげたいし」
「え……、えぇ……っ!?」
(こ、懇願なんて、してませんけど……?)
兄の無茶苦茶な言い分に、ヴィヴィは可愛い顔を引き攣らせた。
が、強引な兄に抗える筈もなく、ヴィヴィは結局1時間、匠海に文字通り“抱き潰された”のだった。
(し、死ぬ……)
ヴィヴィは半ば放心状態で、そう弱音を吐いていた。
匠海のバスルームの、そのバスタブの中で。
「………………」
兄の寝室で抱かれて、こうやって一緒にお風呂に入るのは初めてかもしれない。
少なくとも自分が覚醒している状態では、一度もそんなことは無かった気がする。
いつも暖かい濡れタオルで清めてくれるか、抱き潰されて放置され、起きた後で自分でシャワーを浴びるか。
ちゃぷりと音を立てて逞しい胸に抱き寄せてくる兄に、ヴィヴィは弛緩しまくった躰を預ける。
もう何度自分が達したのか、何度兄に中に出されたのか覚えてない。
最後のほうは息も絶え絶えだったから。
それはもう執拗に、制服を纏った自分を抱き続けた兄の事が、よく分からない。
(なんだかな……)
薄い唇から洩れるのは、細い溜息。
それに気付いたのか、濡れた暖かな掌で、兄に肩を撫でられた。
朦朧とした灰色の瞳が、ゆらゆらと左右に揺れる。
制服を脱ごうとしたヴィヴィに、着用させたままにした兄。
制服を着た自分に『鞭』を与えられない兄。
それはつまり、ヴィヴィが制服を着続ける限り、匠海は『鞭』を与えないことになるのではないか?
「………………」
(お兄ちゃんがヴィヴィに『鞭』を与えた意味……。
それは一体、なんだったんだろう……)
ヴィヴィは頑張って考えようとするのだが、もう疲れ果てた今の自分では正解に辿り着くのは不可能に思え、早々に思考を止めた。
(あ、明日、起きたら考えよう……。ぐう……(-_-)zzz)
猛烈な睡魔に襲われたヴィヴィは、金色の頭もこてんと兄に預けた。
「ヴィクトリア……? 寝たのか?」
その兄の問い掛けにも、ヴィヴィは夢うつつに「寝てますよぉ~」と頭の中で返す事しか出来なかった。