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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第92章            

 9月25日(金)。

 早朝のリンクに響くのは、ヴィヴィのSP『喜びの島』のピアノの調べ。

「ヴィヴィ~、ステップシークエンスの入りから」

 サブコーチのその指示に、「はい」とヴィヴィのよく通る声が返事をする。

 曲の途中から入り、ステップからの3回転フリップを丁寧に跳んだヴィヴィは、音楽に合わせて氷の上を軽やかに駆け出す。

 ステップシークエンスは、5種類のステップを両方向へ行うレベル4構成。

(深く、深く……、とにかく丁寧に……)

 微笑みを浮かべる頭の中では常に先の事を考えながら、一つずつ慎重に。

 ツイズル、ロッカー、カウンターとスムーズに熟し、そのフリーレッグはすぐには降ろさず、本当は脚が疲弊しているが余裕の表情でスパイラルを挟む。

 フライングからディフィカルトポジション(難しい姿勢)の、アップワード(おへそが上方に向いている)のキャメルスピン(上体とフリーレッグが水平で行うスピン:横から見るとT字になる)へ、そしてI字スピンへと移行してのフィニッシュ。

 リンクサイドへ戻ってきたヴィヴィは、鼻を噛みながらコーチ陣の指示を仰ぐ。

「2つ目のロッカー、インがアウトになってた。それに、ステップシークエンスの入り、もっと弾けてみていいよ」

 サブコーチのそのアドバイスに、ヴィヴィはリンクに戻り試してみる。

「こんな感じ、ですか?」

 少し上に飛び上がるように駆けてみる。

「ああ、そう! スキップとか子供の駆けっことか、それくらい弾む感じのほうがいいね」

「ヴィヴィ、凄く気持ちが乗ってる時、自然とそうなってるしね?」

 柿田トレーナーのその言葉に、ヴィヴィは笑う。

「あ~、『嬉しくてしょうがないっ』て感じですね?」

 その場でぴょんぴょん子供っぽく飛び上がったヴィヴィに、柿田が笑いながら「そうそう」と頷く。

「このステップシークエンスからは、感情を思いっきり外へ出して。どんどん盛り上がってフィニッシュ! って感じな」

 サブコーチが先程のステップの動画を、ヴィヴィに見せながら説明する。

「あ~~……っ」

 両手をぽんと合わせて何だか一人で納得した様子のヴィヴィを、男2人が不思議そうに見てくる。

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