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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第92章
「ヴィヴィ、今、超多忙なのです……。オフシーズンになって、受験終わったら1/2以上、お兄ちゃんの事になるよ」
華奢な肩を落としながら弱々しくそう説明したヴィヴィに、匠海はくすりと笑った。
「まあ、いいか。俺とセックスしてる間は、俺以外の事考えられないだろうからな」
「う、うん……」
(そ、そりゃあそうだよ。だって、お兄ちゃんとえっちするの、何もかも忘れちゃいそうなほど、気持ちいいから……)
ぽっと頬を染めたヴィヴィのその胸を、兄はしばらく優しく撫で擦っていたが、どうやらそれで満足してくれたらしく、解放してくれた。
「また、明日、いっぱい可愛がってあげる」
妹のナイトウェアを元に戻した匠海は、ヴィヴィの顎に指を添えると、後ろを向かせた。
ちゅっと優しく与えられた口付けに、ヴィヴィの華奢な躰がぴくんと可愛らしく跳ねた。
「おやすみ、ヴィクトリア」
「おやすみなさい……」
きゅっと妹を抱きしめた兄は、そう言うと寝室から出て行った。
しばらく兄が出て行った扉をぼうと見つめていたヴィヴィだったが、やがて「ふわわわ」と大きなあくびをした。
「う~~ん……。やっぱり、変態さんの考えることは、よく分かんない……」
ヴィヴィはそう冗談めかして呟くと、睡魔に抗えず床に就いたのだった。
9月26日(土)。
グランプリシリーズ初戦のNHK杯まで、後20日と迫ったこの日。
双子は衣装の最終調整をしていた。
ヴィヴィは女子更衣室でSPの衣装に袖を通し、スケート靴を履いていた。
「ヴィヴィ~、着れた~?」
賑やかに入ってきたのは、母 兼 ヘッドコーチのジュリアン。
「あ、はい」
「ほら、立った立った」
両手でひょいひょい立つようにジェスチャーされ、ヴィヴィはスケート靴を手早く履いて立ち上がる。