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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第92章
双子のスポンサーである大塚薬品工業から派遣された栄養士。
この方に双子の日々の食事のカロリーコントロール、栄養素の計算をして貰っていた。
「あ、あれじゃないですか? 今、学園祭の準備で、毎日アイリッシュダンスの練習、してるから」
ヴィヴィがそう指摘すれば、
「ああ、そうかもね。そっか~……。学園祭はNHK杯の1週間前よね? う~ん、もうウェスト、詰めて貰った方がいいかしら~……、う~ん……」
そう唸り続けるジュリアンをよそに、ヴィヴィは痩せてしまった理由の“違う理由”を思い浮かべていた。
(ダンスの練習のせいもあるけど……、もしかしたら、お兄ちゃんとのセックスのせいもあるのかも……。最近、結構、は、激しいし……)
それはそうとして、
「これ以上痩せると、貧相極まりないな……。どうしよう……」
ヴィヴィは姿見に映った華奢で中性的な自分の全身を見つめながら、そのまっ平らなお腹を撫でたのだった。
土曜日のこの日。
7時間リンクでみっちり練習し、更に7時間クリスととことん勉強したヴィヴィは、日付が変わる前にはもうベッドの上でうとうとしていた。
しかしまだ深い眠りには就いていなかったので、匠海が自分の頭を柔らかく撫で始めてすぐ、目を覚ます事が出来た。
「あ……。お帰りなさい、お兄ちゃん」
ふにゃと締まりのない顔で笑ったヴィヴィを、兄は少し心配そうに覗き込んでいた。
「ヴィクトリア、疲れてる……? 今日、やめておくか?」
今日は兄に抱いて貰える日なのに、そんな事を確認してくる匠海に、ヴィヴィは「やだっ」と頬を膨らませた。
「ん……? エッチ、出来る?」
まるで我が儘な妹を甘やかす昔の兄の様に、柔らかく確認してくる匠海に、ヴィヴィは嬉しくなって上半身を起こした。
「うん。ちょっと寝たらすっきりした。お兄ちゃんは……、また会社?」
土曜なのにスーツ姿の兄に、ヴィヴィは心配そうに尋ねる。
「ああ、午後からね。じゃあ、シャワー浴びてくるから、俺の寝室で待っててくれるか?」
「はぁ~い」
妹の金色の頭を撫でて出て行った匠海に続き、ヴィヴィもベッドから這い出て兄の私室へと向かった。