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第92章 　 　 　　　　 　　

　兄の長い指先を視界に収めながら、遠い昔を思い出していたヴィヴィは、ふっと顔を上げて微笑んだ。

「まあ、そのおかげで随分大きくなってからも、抱っこして貰えたから嬉しかったけどね？」

「お前は、本当に甘えん坊だな？」

　ヴィヴィの甘えた全開のその言葉に、匠海は苦笑しながらもう片方の太ももをマッサージし始めた。

　重点的に裏側のリンパ節をぐりぐりと刺激するその指に、ヴィヴィは視線を送りながら呟く。

「何でだと思う？」

「え？」

　妹の不可思議な質問に、匠海がふっと顔を上げた。

　その整い過ぎとさえ思える美しい顔に向かって、ヴィヴィは懐かしげに瞳を細める。

「ヴィヴィが甘えると、お兄ちゃんが喜ぶから」

「…………はあ？」

　妹の答えがあまりにも意外だったのか、匠海はだいぶ遅れてそう返してきた。

「ホントだもん。まあ昔の話だけどね……。例えば「だっこして？」って甘えるでしょう？　最初は「ダメ」っていうのに、おねだりしたら結局してくれるの。で、その後に「愛してるよ」ってよく言ってくれた」

「そうだったか？」

　微かに首を傾げた匠海に、ヴィヴィは２匹の頭の間にぽすんと顔を埋めた。

「うん。ヴィヴィ、それが大好きだったの」

　ヴィヴィのそのくぐもった呟きを最後に、兄妹の会話が途切れた。

　黙々と妹の白く細い太ももをマッサージしていた匠海の手が、ゆっくりとヴィヴィの大事な部分を隠している裾を払った。

　そのまま秘裂に触れてくると思っていた兄の指は、尻と脚の付け根をぐりぐりとマッサージするだけで。

　小さな尻の輪郭に沿って這わされる指に、ヴィヴィの最奥からとぷりと大量の蜜が吐き出されたのが自分でも分かった。

　兄の視線に晒された薄紅色の膣口がひくんと疼き、とろりと透明な液体が溢れ出る感触に、ヴィヴィの頬がさっと朱に染まる。

（や、やだ……っ　ただのマッサージ、なのに……。ヴィヴィ、濡れて……っ）

　２匹の頭から少し上げた視線の先、目の前の兄のバスローブの裾が肌蹴ていた。

　妹の脚をマッサージしていただけなのに、真上へ向かってそそり立つその剛直に、ヴィヴィの瞳が物欲しげに震えた。