この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第92章
重かった目蓋を何とかこじ開けると、ヴィヴィは既にベッドの上にいた。
自分に腕枕をしながら長い髪を指で梳いている兄に気付き、ヴィヴィは瞳を細めた。
先程まで力が入らなかった躰が、驚くほど軽く感じた。
軽々上半身を起こしたヴィヴィは、躰を横たえていた兄を跨いで、全裸のまま膝立ちになる。
そして薄い唇から洩れたのは、甘い甘い、睦言。
「おにいちゃまぁ……」
寝転がった匠海の上に四つん這いになったヴィヴィは、上から兄の端正な顔を覗き込む。
ヴィヴィの長い髪が兄の顔の両脇に、さらさらと音を立てて降り注ぐ。
「ん……? ヴィクトリア、もっと欲しいのか?」
悪戯っぽくそう聞き返してくる兄に、ヴィヴィはその細い掌を匠海の胸の真ん中――心臓の辺りに置き、こくりと頷く。
「うん、ほしいの……。
ヴィヴィ、おにいちゃま、ほしいの……」
心臓の上に下されていた掌が、すっと肌理細やかな肌を撫でながら下がっていき、やがてまだ硬さを残した兄の昂ぶりへと下される。
はっと切れ長の瞳を見開いた匠海は、下からヴィヴィを苦しそうに見詰めた。
「……――っ ああ、あげるよ。俺の全てを――っ」
何故か強張った表情で自分を睨む様に見上げてくる兄に、ヴィヴィはまるで幼子の様に屈託なく笑った。
「うふふ。おにいちゃま……、
ヴィヴィ、うれしい――」