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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第93章          

 昨夜、兄を幾度となく膣内で受け止めたヴィヴィだが、その後、匠海のバスルームで全て掻き出して貰った。

 それも、長い指を膣に含ませた匠海が、それを締め付けてしまった妹に興奮して、指で掻き出されながらもイかされた記憶がはっきりある。

 不可解そうにそれを見つめていたヴィヴィだったが、やがてその虚ろな瞳に浮かんだのは、紛れもない喜びの色。

「お兄ちゃん、の……だよ?」

 胸に抱いていた匠海の英国土産――バグパイプを抱いたテディベア、に嬉しそうにそう話し掛けたヴィヴィは、いつまでも汚れたそこを眺めていた。







 屋敷にいた父と匠海と一緒に朝食をとったヴィヴィは、私室に戻ると、ウォーキングクローゼットの中で鼻歌を歌いながら荷造りしていた。

「♪ My mother has killed me,

   お母さんが私を殺して、

   My father is eating me,

   お父さんが私を食べている。

   My brothers and sisters sit under the table,

   兄弟たちはテーブルの下で私の骨を拾い、

   Picking up bury them under the cold marble stones.

   冷たい大理石の下に私を埋めたの。 ♪」

 くすくすと嬉しそうに笑いながら1泊2日分の服を纏めたヴィヴィは、バッグを手にクローゼットの外に出た。

 そしてそこに立っていた朝比奈に気付くも、笑顔のままその傍を通り抜ける。

 まるでスキップでも始めそうなほど軽い足取りの主の背に、朝比奈が呼び掛ける。

「お嬢様……。これも処分するのですか?」

 くるりと振り向いたヴィヴィは、執事が手にしているものを確認し、にっこりと微笑んだ。

「うん。もういらない」

「………………」

 無言で立ち尽くす朝比奈に背を向けたヴィヴィは、ぱたぱたと軽い足音を立ててリビングを横切る。

「♪ My mother has killed me~,My father is eating me~ ♪」

 まるで幼女のように舌っ足らずにマザーグースの歌を唄いながら駆けていくヴィヴィの背を、白いスケート靴を両手に抱えた朝比奈が思い詰めた表情で見送っていた。






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