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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第93章
「ごめんなさい……。ヴィヴィ、ずっと寝てて……」
ヴィヴィがそう再度謝ったのは、葉山の別荘の車寄せでだった。
ショッピングモールから15分程の場所なのに、また爆睡してしまったヴィヴィは、申し訳なくて謝りながらも、不思議そうな顔をする。
「いいよ。可愛い寝顔だった。それに、朝方まであんなに抱いたんだ。しょうがない」
そう言ってぽんぽんと金色の頭を撫でる匠海に、
「え……、朝方……?」
とヴィヴィがぽかんとする。
そんなヴィヴィから掛けたままだったサングラスを抜き取った匠海は、少し呆れた顔をした。
「なんだ、また覚えてないのか? しょうのない子だ。あんなに大胆に、何度も求めてきたのに」
「え……? う、嘘……っ し、知らないっ」
本当にヴィヴィは知らないのだ。
自分の記憶は、兄と一緒にお風呂に入って――そこまでしかない。
しかし兄の言葉を裏付ける証拠はあった。
今朝、ヴィヴィの大切な場所からとぷりと溢れ出た白濁――。
「本当だよ。もう『おにいちゃま』『おにいちゃま』って……。お前、俺を萌え死にさせる気か?」
「……う、ん……」
昨夜の情事を思い出しながら婀娜っぽく嗤う匠海に対し、ヴィヴィの瞳は戸惑ったように左右に揺れていた。
「いいよ。ヴィクトリアが覚えていなくても、俺が全部覚えておいてやるよ」
「うん……。それもそうだね、お兄ちゃん」
そう簡単に納得してにっこり笑ったヴィヴィは、シートベルトを外して車から降りた。
ヴィヴィが2人の荷物を、匠海が食材を別荘の玄関に運び込んだ途端、
「ヴィクトリアっ」
苦しそうにそう呼んだ兄は、妹の手から荷物を取り上げ、胸の中に抱き込んだ。
「ん? あ……っ まっ!? ……っ」
驚きの声を上げるヴィヴィの唇を塞いだ匠海の大きめの唇は、乱暴とも思えるほど強く押し当てられ、すぐにその口内に舌を捩じ込んできた。
「んぅっ ……っ ぁ……っ」
熱い匠海の舌が焦れた様にヴィヴィの粘膜を擦りあげ、その全てを嬲り、舐め取ろうとしてくる。
「おに、ちゃ……っ れい、ぞうこ……っ」
僅かに唇がずらされた隙にそう言い募る妹に、
「キスだけ、だから……っ」
と匠海はなおも奪ってくる。