この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第93章
キスだけと言いながらもヴィヴィをひょいと抱き上げた匠海は廊下を抜け、リビングのソファーに妹を運び込んだ。
「あ……っ ぁん……っ」
ソファーに押し倒されたヴィヴィは、その上に馬乗りになった匠海が与える胸への愛撫に、早々に甘い声を上げる。
「ああ、ヴィクトリアっ やっと2人っきりだよ?」
ノースリーブのシャツの上から、妹の小さな膨らみを興奮した様に揉みしだく匠海に、ヴィヴィがその両手を掴み困ったように見上げる。
「お、にい、ちゃん……っ」
「可愛いね、お前は本当に……っ」
妹の胸元の黒く細いリボンをしゅるりと解きながら、首筋に顔を埋めて舌を這わし始めた兄に、ヴィヴィは言葉でも拒否した。
「ぁんっ あ……、ダメっ」
「どうして……?」
拗ねた様に自分を覗き込んでくる兄があまりにも可愛くて。
でもヴィヴィは心を鬼にして、要件を口にした。
「お、お買い物したの、入れてから、に、しよう?」
せっかく生鮮食品を買い込んだのに、それらは今、玄関にレジ袋に入ったまま放置されている。
いくら9月後半とはいえまだ暖かいので、放置すればすぐに傷んでしまうだろう。
「やだ」
経済観念の無い妹にしては冷静な提案を、何故かそう短く却下してくる兄に、ヴィヴィは眉根を寄せる。
「――っ!? え、だって、ランチと、ディナー……、外、行くの?」
ヴィヴィのその指摘に、匠海はやっと冷静になったようで、少し戸惑ったような表情を浮かべた。
「ふ……。そうだな……。こんなに焦らなくても、時間はたっぷりある」
「ん……」
まだ日曜日の朝10時前。
匠海の言う通り、2人にはたっぷり時間があった。
「頬赤くして、可愛いよ。俺のヴィクトリア」
「お兄ちゃんのせい、だもんっ」
ヴィヴィが子供っぽくぶうと頬を膨らませると、それさえも可愛いと言いたげに、兄はその唇を吸ったのだった。