この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第93章
「後は、ヴィヴィの制服姿に~、むぐっ!?」
調子に乗ったヴィヴィのその口に、セロリのスティックが突っ込まれた。
「お前はもう、黙ってそれでも齧っとけ」
苦虫を噛み潰した様な顔でそう睨んできた兄に、ヴィヴィは、
「ふはぁ~い。ぽりぽり……」
と大人しくそれを齧ったのだった。
その後、食洗機に食器を突っ込み、歯磨きをした兄妹は、部屋着のまま別荘の前に広がる海岸へと降りて行った。
別荘は小高い丘に建っており、1分程でその砂浜へと降りて行ける。
元々が「「海連れてって!!」」と夏の間中言い張る双子の為に父が建てた別荘なので、その条件は素晴らしいほどクリアされていた。
プライベートビーチ状態のそこは人っ子一人見当たらず、ヴィヴィはルームウェアのまま駆け出す。
「転んでもいいけど、怪我はするなよ? 試合、近いんだから」
兄のその指摘に、ヴィヴィは一瞬の躊躇の後、「は~いっ」と素直に返事した。
五分袖でミニ丈のルームウェアは、ピンク色に白の大きなドット柄で、襟はパーカーになっており、裾は2段のティアードになっている。
腰元にはリボンを象ったポッケがついている、恐ろしく可愛いそれを纏ったヴィヴィは一目散に波打ち際を目指す。
海に行くならばと持参してきたビーチサンダルをポイポイ脱ぎ捨てたヴィヴィは、もうすぐ10月だというのに、波打ち際に躊躇なく入っていく。
「あ、結構温かい~」
「この時期は、気温と水温、同じくらいだろうからな」
そう言いながら自分もデニムの裾を折り畳んで波打ち際を歩き始めた兄を、ヴィヴィは嬉しそうに振り返る。
「えへへ。お兄ちゃん?」
「ん?」
「連れて来てくれて、ありがとうっ」
満面の笑みを浮かべてそう礼を言ったヴィヴィに、匠海が眩しそうに瞳を細める。
「……ああ。ヴィクトリアの嬉しそうな顔が見れただけで、俺も嬉しいよ」
「……っ き、キザだね……っ」
そんな嬉しい事を言われて恥ずかしくて、ヴィヴィはそう突っ込むが、
「馬鹿。妹思いの優しい兄なだけだ」
と余裕で返してくる匠海に、ヴィヴィは苦笑した。
「ふふっ 自分で言ってる」