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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第19章                    

 両方からサラウンドでそう褒めてもらい、ヴィヴィは薔薇が綻ぶようににっこりと微笑んだ。

「お兄ちゃんも大人っぽくてカッコいいよ。クリスは蝶ネクタイ似合ってて可愛い」

 両方を見てそう兄達を褒めたヴィヴィに、朝比奈がヴィヴィの靴を持って来た。

 オープントウで華奢なヒールのそれはドレスと合ってとても素敵だったが、ヴィヴィはそんなヒールの靴を今まで履いたことがなかった。

 兄二人に支えてもらいながらスリッパからパンプスに履き替えたヴィヴィは、やはりぐらぐらと足元がおぼつかない。

「こんなヒール履いて、歩き回れるかな……?」

 不安そうにそう呟いたヴィヴィにクリスがフォローする。

「大丈夫だよ。僕がずっと傍にいるし……」

「そうだな。それに庭に出たら椅子は沢山あるからな。足が痛くなりそうだったら座っていたら?」

 匠海のその助言に、ヴィヴィは「そうする」と頷く。

「ではそろそろ参りましょう。お坊ちゃま、お嬢様――。皆様が首を長くしてお待ちですよ」

 微笑んだ朝比奈ともう一人の使用人が両開きの重厚な扉を廊下側へと開くと、庭へと通じた階下からは美しい管弦楽の調べに乗って楽しげな声が聞こえてきた。

「参りましょう――我が家のお姫様――?」

 右からそう言ってからかい、腕を差し出す匠海と、

「転ばないように、僕の腕しっかり握っていてね?」

 と心配そうに左から覗き込んでくるクリス。

 二人に支えられながら、ヴィヴィは石造りの階段を一歩ずつ降りて行った。








……現実逃避で、お姫様扱いのヴィヴィを書いてみました(泣)
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