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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第19章
「いいなぁ、ヴィヴィは~」
パーティーも中盤に差し掛かった頃、隣に座っていたカレンがじと目でヴィヴィを見つめてそう口を開いた。
東京都内とは思えないほどの広大な篠宮邸の庭に配されたソファーやウッドチェアに、ヴィヴィ達女子は各々着飾り輪になって座っていた。
少し離れたところにはクリス達同級生&スケート男子メンバー、その隣には匠海の友人や仕事関係の人が集っていた。
「何が~?」
周りにいる女子達がカレンに尋ねると、カレンはちらりと視線だけで本日の主役である匠海とクリスを見やる。
「何って、決まってるでしょ~? あんなにカッコいいお兄さん二人にチヤホヤされて、羨ましいったらないよっ!」
カレンのその意見に、女子達が身を乗り出して食い付く。
「だよねっ! 一番上のお兄さんは久しぶりにお会いしたけれど、めっちゃくちゃ美形だよね!」
「さっきなんてさ、お兄様二人に両側からエスコートされて……どこのお姫様かと思っちゃったよ!」
興奮気味にキャアキャア捲くし立てる友人達に、ヴィヴィは乾いた笑いを返す。
「ヒールが細くて、こけないように支えてもらってただけなんだけど……」
そんな乙女の夢をぶち壊すようなことを暴露しながらも、ヴィヴィは心の中で先ほどのことを思い出し鼓動が跳ねた。
(「可愛いよ」って言ってくれたし、階段を下りる時もとっても優しい瞳で見つめられて、ドキドキした……)
微かに色付いた頬をヴィヴィが両手で押さえていると、また女子達が騒ぎ出す。
「クリスはさ~、ヴィヴィのことしか目に入ってないから駄目だろうけど、お兄さんのほうはチャンスあるかな? 六歳上だっけ? 大学四回生か……高校一年生は恋愛対象には入らないかしら?」
「そうだよね~。なんたって東大生だもんね、頭も良くて御曹司で美形なんて、周りがほっとかないよね」
皆が恋する乙女のように胸の前で手を組み、匠海のほうへと熱い視線を向ける。
そんな様子にヴィヴィは焦って口を開いた。
「お、お兄ちゃんは『年上好み』だから、だ、駄目だと思う――っ!」
どもった上に声が裏返ってしまって明らかに挙動不審なヴィヴィに、友人達は不服そうにする。
「え~……そうなの?」
「長男だから年下の女子とのほうが上手くいきそうなのにね~」