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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第19章
口々に残念そうにそう言う友人達とは別に、カレンがヴィヴィを肘で小突いた。
「ヴィヴィ、お兄ちゃん取られそうで嫌だから、そんなに焦ってるんじゃない?」
「え……?」
意地悪そうにニヤッと笑ったカレンを振り返ったヴィヴィは、一瞬自分の心を見透かされたのかとドキッとしたが、カレンの面白がっている表情からそうではないと悟る。
「そ、そうだよっ! お兄ちゃんはヴィヴィのお兄ちゃんなんだから、他の女の人には渡さないの――!!」
開き直ってオフホワイトのドレスの胸をそらし、腰に両手を添えて「えっへん」と言い切ったヴィヴィに、一瞬周りはしんと静まり返った。
しかし直ぐに爆笑に包まれる。
「あはは。ここにもいたよ~、ブラコンがっ!」
「クリスだけがシスコンなんだと思ってたら、ヴィヴィもブラコンだったとは!」
「っていうか、お兄さんがクリスLOVEだったら綺麗な三角関係になるね」
お腹を押さえてひーひーと笑い転げる女子達に、近くにいたクリス達男子が近づいてくる。
「何笑ってんのさ?」
「どうせ俺らの悪口でも言って盛り上がってんだろう?」
皆思い思いにお洒落をした男子達が、女子が座ったソファーの背凭れや肘置きに腰を下ろし輪に加わる。
「違うよ~、ヴィヴィがね~」
笑いながら口を開こうとしたカレンの口を、ヴィヴィは両手で押さえて阻止する。
「わ~っ!? 言っちゃダメ――っ!!」
焦ったヴィヴィがカレンを止めたが、周りの女子達が「ヴィヴィは上のお兄ちゃんのブラコンなんだって!」とすかさずばらしてしまった。
「え~、ヴィヴィもかよっ!?」
「お前ら……世の中には兄弟姉妹以外にも男と女はいるんだぞ?」
「そうだよ。兄弟なんかに構ってる時間があるなら、恋をしろ、恋を――!」
男子達が口々にそう双子を説得しようとするが、双子は声をそろえて反論した。
「「だって、お兄ちゃんが(ヴィヴィが)誰よりも一番カッコいい(可愛い)んだもん」」
あまりにも綺麗にシンクロした答えに、皆は一瞬目をぱちくりとさせたが、また大爆笑に包まれた。
「じゅ、重症だっ、この双子は――っ!」
「お、面白すぎる……」
「お互い気持ちが一方通行なのが、笑いを誘うよねっ!」
散々ネタにされてむくれる双子をよそに、面白がる友人達に二人は口を尖らせた。