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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第93章          

「頼むっ 冷静になって聞いてくれ……っ 全部きちんと説明するからっ 死ぬなんて、言わないでくれっ!!」

 五月蠅い。

 五月蠅い。

 五月蠅いっ!!

「離してっ!!」

 ヴィヴィはそう叫びながら、渾身の力で兄に掴まれていた両腕を下した。

 やっと解けた拘束に、ヴィヴィは一歩下がり、兄に対して今まで溜めてきた鬱憤を全てぶちまけた。

「どこまで言いなりにさせれば気が済むの?

 どれだけ狂わせれば気が済むの?

 心だって躰だって全てお兄ちゃんにあげたのにっ!!

 そんな嘘を吐いてまで、まだ足りないって言うのっ!?

 まだ寄越せっていうの――っ!?」

「おい待てっ」

 妹を拘束しようと伸ばしてくる兄の手から、ヴィヴィは咄嗟に身を引いた。

「もう、ヴィヴィ……、あげられるものなんか何一つ残ってない……。

 もうこの命くらいしか、あげられるものない――っ!!」

 全身全霊でそう叫んだヴィヴィは、だから逃げ遅れた。

「ヴィクトリアっ 落ち着けっ」

 簡単に兄の胸に抱き寄せられて。

 自分が一番撫でられるのが好きで、落ち着く後頭部を優しく撫でられて。

「離して……! 触らないでっ! もういやあ――っ!!」

 がむしゃらに暴れたヴィヴィは、意図せず兄の腕を爪で引っ掻いていた。

「……――っ」

 さすがに解かれた拘束に、ヴィヴィは必死で兄との間合いを取る。

「触らないで……っ ヴィヴィに触れないで……っ」 

 また自分に近寄ってくる兄に、ヴィヴィはふるふると乱れた金色の頭を振り、後ずさる。

 そしてその震える薄い唇から漏れたのは、完全に兄を拒否する言葉だった。

「お兄ちゃん、お願い……。

 ヴィヴィを愛してるなら、もう抱かないで……。

 もう指一本触れないでっ!!」

「ヴィクトリア……」

 愕然とする兄に、ヴィヴィはさらに本音を口にする。

「お兄ちゃんが信じられないの……。

 お兄ちゃんの事を好きだと思う自分も、愛していると思う自分も、

 全て信じられないの……っ」

「ヴィクトリア……」

 大人しくなり始めたヴィヴィに、兄はもう放心状態で自分を見つめていて。

「もう、おうち……帰りたい……っ」

 くしゃりと顔を歪ませて出た言葉は、自分でも嫌になるくらい子供っぽかった。

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