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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第94章
座席に寝転がされたヴィヴィが、涙目でぎろりと上に圧し掛かるクリスを睨み上げれば、
「そういう顔も、いいね……」
制服のネクタイを片手で緩めるクリスから、まるでサド侯爵の様な返事が降ってくる。
(こ、この人、誰……?)
ヴィヴィは怯えた表情でクリスを見つめていたが、車が停車し、とうとうリンクへと着いてしまった事に気付き、心の中で舌打ちした。
また有無を言わさず担ぎ上げられたヴィヴィは、何故か数あるミーティングルームの1室へと連れ込まれた。
床に下されたヴィヴィは咄嗟にクリスから逃げようとしたが、また捕まり、片腕で腰を軽々と抱き抱え上げられた。
「――っ なっ んで、こんなこと、するのっ!?」
「本当に、解らないの……?」
クリスのその冷静過ぎる返事に、宙に浮いた状態のヴィヴィが、ぐっと喉を詰まらせる。
解らない訳、無いではないか。
解っていて聞いている――何でこんな強引に連れて来られなければならないのかと。
「着替えてくれるね……?」
クリスのその言葉に、ヴィヴィはぶんぶんと金色の頭を振る。
滑るつもりが無いのに、何でウェアに着替える必要があるのだ。
「ふうん。じゃあ、着替えさせてあげる……」
「……え……?」
クリスのその返事の意味が分からずに戸惑った声を上げたヴィヴィの、そのジャンバースカートの胸上の大きなボタンが、双子の兄の手によって左右とも外された。
そのまま床に下されたヴィヴィの身体から、ジャンバースカートがはらりと脱げ、床へと落ちる。
白シャツと、インナーだけの格好にさせられたヴィヴィが、あまりの出来事に呆気に取られたのも一瞬で、
「んな゛――っっ!? く、クリスの、え、えっちぃ~~っ!!」
そう喚きながらしゃがみこもうとしたヴィヴィを、クリスがその肩をとんと押し、後ろのソファーへと座らせた。
手際良く床に落ちたジャンバースカートを拾い上げたクリスは、そのままミーティングルームを出て行こうとする。
「ちょっ ま……っ なっ!? か、返してっ!!」
ソファーの上で真っ赤になり、シャツの裾で下半身を隠しながら喚いたヴィヴィに、
「ほら、それ着ないと、出て来られないよ……?」
クリスはそう言い置くと、静かに部屋から出て行った。
「……~~っ」