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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第94章            

 まず、当たり前だが、氷と触れているお尻が冷たい。

 そして、人目が半端なく気になる。

 双子が座り込み対決(?)をしているのは、運良くリンクの隅の方だったが、そのリンク上でレッスンを続けるジュニアの生徒達が、「あの天才双子は、一体何をやってんだ?」と興味津々でがん見してくるのだ。

 それだけじゃなく、その父兄や関係者が双子の成り行きを、じ~っと眺めていた。

「……暇人……」

 悔しそうにそうぼそっと呟いたヴィヴィに、クリスもぼそっと返す。

「うん……。暇じゃないし、お尻冷たいから、そろそろ起き上がって欲しいな……?」

「………………」

 ヴィヴィは不承不承立ち上がると、お尻の氷の屑を払った。

 そしてもうしょうがないと、自分で滑ってリンクの外に出ようとし、その手首をクリスに掴まれ止められた。

「もうっ 何なの……っ!?」

 ばっと振り返ったヴィヴィは、その手を上にあげて振り払おうとしたが、その前にクリスが手を放した。

 そして、自分に対してクリスが行ったある行為に、ヴィヴィは灰色の瞳を強張らせた。 

 妹を真剣に見下ろすクリスに、ヴィヴィはふるふると金色の頭を振って抵抗する。

 けれどクリスは止めなかった。

 また同じ事を繰り返し、ヴィヴィの前に掌を差し出す。

「……――っ」

 ヴィヴィはクリスのその行為に、苦しそうに顔を歪める。

 クリスが行ったこと――それは、バレエのマイム。

 右掌を上にし、自分の胸に当て、その手をヴィヴィに差し出す。

 そして両手を上に上げ、両掌を頭の上でくるくると回す。

「……や……っ」

 ヴィヴィは短くそう拒否するが、クリスはそんな妹をじっと見下ろしていた。

 そのマイムの意味、それは――『僕と一緒に踊りましょう』。

 双子のペアプログラム、『美しき青きドナウ』の中で用いたマイムだった。

「お願い……、ヴィヴィ……」

 そう懇願してくるクリスに、ヴィヴィの薄い胸は押し潰されそうだった。

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