この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第95章       

「あれ? それ、ダッドも言ってた。『ファンクラブ第1号は自分だっ!』って」

「いいえ。それだけは譲れません。例え旦那様がお相手とはいえ、ファン第1号は私です」

 そう言って得意げに胸を反らしてみせた朝比奈に、ヴィヴィは声を上げて笑った。

「あははっ ヴィヴィもクリスも、熱烈なファンが傍にいてくれて、幸せ者だねっ」

 ヴィヴィの明るい笑い声がリビングに響いている中、次いで聞こえたのは小さなノック音だった。

 その音に、先程まで笑顔だったヴィヴィの表情が瞬時に強張る。

 その様子をすぐ傍で見ていた朝比奈は、ヴィヴィを置いてノックされた扉へと近付いて行く。

 匠海との部屋を繋ぐ扉を開いた朝比奈の目の前に立っていたのは、兄の執事・五十嵐だった。

「お嬢様に匠海様からお話があるとの事ですが、お時間をお取り頂けますでしょうか」

 それは目の前に立つ朝比奈に向かって掛けられた言葉だったが、同じ室内にいたヴィヴィにも勿論届いていた。

「……――っ」

 ヴィヴィは咄嗟に息を呑むと、まるで身を守るように、バスローブに包まれた自分の身体に両腕を巻き付けた。

 そして無言で自分を振り返る朝比奈に、小さく首を振ってみせた。

「五十嵐さん、申し訳ありません。お嬢様はご気分が優れない様で、すぐに就寝したいとの事です」

 的確に主の意思を代弁した朝比奈に、五十嵐は自分の視界にヴィヴィが居るにも関わらず、そちらには視線を寄越さずに恭しく答えた。

「畏まりました。そのように主にお伝えします」

 小さな音を立てて閉められた扉に、ヴィヴィはほっとし、無意識に自分を抱き締めていた腕を解いた。

 静かに自分の傍に寄ってくる朝比奈に、ヴィヴィは薄い唇を開いた。

「ハーブティー、淹れようかな……。今日は……そうだね……、パッションフラワーと、ローズマリーにしようかな……」

 そう指示したヴィヴィの声は震えていた。

 それに気付いてか、すぐにお茶の準備のために私室から出て行った朝比奈に、ヴィヴィはほっとして息を吐いた。

/2774ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ