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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第95章       

 そう、幼稚舎の頃から校則違反などしたことも無いヴィヴィが、1日のさぼりを挟んでギャル系(?)になっていた。

 けれど別に中身は変わっていないので、下級生達に恐るおそる「おはよう、ございます……」と掛けられた挨拶に、「おっはよ~」といつも通りに返していた。

 その反応は、双子の属する高3の教室でも同様だった。

「ヴィヴィが、JKっぽい……っ」

 ヴィヴィの出で立ちを見た途端、そうぽつりと呟いたのは、他でもない親友のカレン。

「……JKなんですけど、前から」

 そう少し不服そうに唇を尖らせたヴィヴィに、クラス中の女子生徒が寄って来る。

「ってか、マスカラ塗り過ぎっ どうせ塗るなら綺麗に塗れってのっ!」

 ケイトのその手厳しい指摘に、ヴィヴィは金色の毛先を弄って言い返す。

「え~~、JKはこんぐらい盛るんじゃないの?」

 本当は髪もゴージャスに巻いてやろうと思っていたのだが、如何せん朝は忙しく、そこまで手が回らなかったのだ。

「ううん。今はツケマが主流だからね」

 ジェシカは自分の目元を指差して、そうヴィヴィに教えてくれる。

「ツケマ……? ああ、つけまつげね~」

 確かにごってりマスカラより自然で、綺麗に見える。

「付け方、教えてあげようか?」

「ん~~、いいや、面倒くさそう……。ありがとう」

 ジェシカのその申し出を、ヴィヴィは丁重にお断りした。

「あれ、ヴィヴィ。ファンデ塗ってない?」

 ミランダがじ~っと、ヴィヴィの頬を至近距離から覗き込む。

「うん。面倒くさかった」

「アイシャドーもチークもしてないの?」

 メアリーのその突っ込みにも、ヴィヴィはこくりと頷く。

「うん。面倒くさかった」

「「「……――っ もう、あんたは化粧すんなっ!」」」

 ヴィヴィの「面倒くさい」発言に、そこにいた女子生徒全員が口を揃えてそう突っ込んだ。

「え~~、これでも頑張ったのにぃ……」

 自分の席の椅子の背に、だらっと凭れ掛かったヴィヴィは、不服そうに唇を尖らす。

「まあね。確かに充分、可愛いけれど」

 目の前の席に座ったカレンのそのフォローに、ヴィヴィは「そう? えへへ~」と嬉しそうににやけた。

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