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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第96章            

 舞が詰まりながら話してくれた事の経緯は、こうだ。



 昨日、双子と同じく深夜までここでレッスンを受けていた2人は、リフトの練習をする為にフィットネスルームで陸トレをしていたらしい。

 舞がテーピングを忘れて一旦そこを離れて戻って来た時、達樹と他の男子が話していたのだそうだ。

『舞と、付き合ってんだろ?』

『お前ら、小学校からずっと、一緒だもんな~? 舞はもうどう見ても、お前のことラブって感じだし~?』

 リンクメイト2人のそのからかいに、達樹が漏らした答えが、

『……面倒くさっ』



「………………?」

 ヴィヴィにはその説明を聞いて、分からない事が2つあった。

 その1 : 何でその男子達の会話を聞いて、舞が傷付き、泣いているのか?

 その2 : 達樹は何に対して「面倒くさっ」と言ったのか?

 金色の頭をこてと倒したヴィヴィは、頭の中で唸る。

(う~~ん。まず、その1……。舞ちゃんは他の男子に2人の仲をからかわれて、それを否定する様にも取れる発言をした達樹くんに、傷付いたってこと……? ん……? でも、それって……)

 ヴィヴィは舞の両肩をがしっと掴むと、その顔を覗き込む。

「……――っ ま、舞ちゃんっ!? もしかして、た、達樹くんのこと……、す、好きなのっ!?」

「……っ ……う、うん……」

 恥ずかしそうに瞳を泳がせていた舞だったが、やがてこくりと頷いた。

「えぇええ~~っ!?」

 ヴィヴィはそう絶叫する。

 2人とはもう10年以上の付き合いになるのに、ヴィヴィは全く気付いていなかった。

 いや――正確に言えば、気付いていないのはヴィヴィばかりで、2人をよく知るリンクメイトやコーチ陣は、あまりにも分かりやす過ぎる舞の可愛らしい反応で、彼女のパートナーへの恋心に気付いていた。

(うひゃ~~……っ び、びっくりした……。ああ、だから……)

 一通り驚いたヴィヴィには、ようやく合点がいった事があった。

 今日のSPのリハ。

 ペアの2人はいつもより、ボディーコンタクトが薄かった。

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