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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第96章
「ああ……。クリス、ヴィヴィ、ありがとう……」
双子の肩をそれぞれぽんぽんと叩いた達樹に、
「ううん。じゃあ……」
とクリスは頷き、双子に背を向けた達樹が、急ぎ足でヴィヴィが出てきたミーティングルームへと向かう。
「……達樹くんっ」
「ん?」
その後ろ姿に小声でそう呼びかけたヴィヴィに、達樹が振り向く。
「じ~~って見てるだけじゃ、舞ちゃんには、伝わんないと思うよ?」
ヴィヴィにしては珍しく実のある忠告をしてみたら、達樹はぼんっという効果音が似合いそうなほど、瞬時に赤面した。
「……~~っ ヴィヴィっ!」
「あははっ じゃあね。バイバイ!」
今にも噛み付いて来そうな達樹に、ヴィヴィはクリスの腕を引いてその場から逃げた。
双子はそれぞれ更衣室で着替え、このまま2人を待っていようかどうしようかと玄関で悩んでいたが、
『た、達樹から、告白、された~~っ!!』
と舞から驚きと喜びのメールが届き、双子はその場でハイタッチして喜んだのだった。
「い~ね~♡ 良かったね~♡」
屋敷に戻って勉強をして、ディナーの時間になっても、ず~とそう言って新しいカップルの誕生を喜んでいるヴィヴィに、クリスが呆れた様に肩を竦めた。
「そうだね……。僕もとても嬉しいけれど……。ヴィヴィ、ちゃんと、食べてくれない……?」
そう呟くクリスの視線の先には、喋ってばっかりで全然減らない料理の数々に囲まれた、妹の姿があった。
「え~~。ヴィヴィもなんか、胸いっぱいで~っ 食べらんないっ きゃはっ♡」
「なんで、第三者のヴィヴィが、食べらんなくなるの……」
冷静にそう突っ込むクリスに、ヴィヴィは「冗談、ちゃんと食べますぅ~」と料理長の力作に箸を付け始めた。
「美味し~い。そういえば、クリスは気付いてたの? 2人の気持ち……」
「うん。もちろん……。ヴィヴィくらいだよ、気付いて無かったのは……」
そのクリスの言葉に、ヴィヴィは半眼になる。
「ちぇ~~……。どうせ、ヴィヴィは、鈍感で、恋愛下手ですよ~だ……っ」
(実体験で嫌という程、解ったから……。もう、ヴィヴィ、恋愛なんてしないもんね……)
そう心の中でも思い、唇を尖らせたヴィヴィに、クリスが小さく首を振った。