この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第96章            

 抜き足差し足忍び足、で誰にも会わずに辿り着いたのは、1階のライブラリー。

 何故ここにしたかというと、1週間前、学校をサボったヴィヴィがここのソファーでうとうとしていたら、朝比奈をはじめとする使用人達に「お嬢様が雲隠れなされたっ!?」と騒がれたからだ。

 と言っても、断じて皆に騒がれたい訳ではない。

 その反対で、クリスに迷惑を掛けず、匠海にも合わずに済む場所を考え抜いた結果が “ここ” だったのだ。

 カーテンがきっちりと閉められたライブラリーは、当たり前だが一面漆黒の世界。

 怖がりのヴィヴィは、扉の近くで恐怖と闘いながら暗闇に目が慣れるまで待つと、恐るおそる広い室内を横切った。
 
 1ヶ所の遮光カーテンを開け放つと、背の高い窓辺からは月明かりが降り注ぎ、室内は真っ暗闇ではなくなった。

 ヴィヴィはほっとすると、テレビの前の大きなソファーに座り、沢山あるクッションをかき集め、持参してきた毛布にくるまった。

 少し感じていた寒さも全く感じなくなり、ヴィヴィはぼうとその場に座り込んでいた。

「………………」

 FPのリハを熟し、受験勉強もしてへとへとに疲れているのに、眠くない。

 ぼうと窓の外へと向けられていた視線が、徐々に下がって毛布に包まれた自分の膝元へと落ちる。

 匠海は今頃、ヴィヴィの寝室に来ているのだろうか。

 そして、そこに ヴィヴィが居ない = クリスの寝室で寝ている と勘違いしてくれただろうか。

 それとも、昨日のヴィヴィの仕業で、もう妹の寝室に来る行為すらしていないだろうか。

 それを確認することすら、何故か恐怖を感じ、ヴィヴィは寝室にいられなかったのだ。

 もちろん、クリスにこれ以上、迷惑を掛けられないというのもある。

「……なに、やってるんだろう……」

 薄い唇から微かに漏れるのは、自分へと問いかける言葉。

 自分は一体、どうしたいのだろう。

 兄に寝室へ来て欲しくないのならば、執事経由で書面で伝えるなり、本人にメールするなりすればいいのに。

 どうしてそうしないのだろう。

 どうしてそうする気が起きないのだろう。

 自分は一体、兄にどうして欲しいのだろう。

/2774ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ