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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第96章            

 ヴィヴィはもう一度ティーカップを手に取ると、その蜜を湛えた林檎の香りを胸いっぱいに吸い込む。

 クリスの心の中を、こんな風に晴れやかにしてあげたい。

 ヴィヴィに対する心配や不安が拭えれば、クリスの胸もこんな風に軽くなるかもしれない。

(出来損ないで馬鹿で心配ばかりかけてる駄目な妹だけど、クリスの為に、ヴィヴィも何かしたいの……)

 ヴィヴィは心の中でそう決意すると、ごくりと咽喉を鳴らして、ジャーマン・カモミールのお茶を飲み下したのだった。






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