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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第97章        

 10月6日(火)。

 自主勉強を終えた3年生が、ぞろぞろと多目的ルームへ集まり始めた頃。

 その広い空間の真ん中には、人だかりが出来ていた。

「ん~と、これ、ジェイソンの上下~。こっちはミリーのワンピ」

 その中心で、学園祭で着るリバーダンスの衣装を皆に配っているのは、衣装担当のケイトだ。

「わっ ありがと!」

「やっぱり、センスいいよな~、ケイトは」

 自分の衣装を受け取ったクラスメイト達が、それを身体に当ててみたり、男女の衣装の違いを確認したりとざわついていた。

「じゃあ、みんな着替えて~! 10分後にまたここに集合ね」

 ケイトのその鶴の一声で、男子は教室で、女子は多目的ルームで着替え始めた。

 女子は全身黒で、フレンチスリーブのAラインのミニワンピ。

 リバーダンスの元となるアイリッシュ・ダンスは女子の脚を見せて踊る為、スカートは股下10cmと本当に短い。

「ひゃ~っ 人生でそんなにないよね? こんなミニスカ履くのっ」

「だね? まあでも、アンダー履くし、黒タイツも履くから見える心配はないけど」

 皆がきゃいきゃい楽しそうな声を上げる中、自分も着替えたヴィヴィが、親友の姿に瞳を♡型にする。

「カレンはホルターネックなんだね? 超いいっ!!」

「うん。ソリストだからね~。少しでも綺麗に見せてあげたくて。カレン肩のラインすっごく魅力的だから」

 そう衣装係のケイトが自信満々に説明すれば、言われたカレンは頬を染める。

「え? あ、ありがと。それに裾が素敵! ほら、ペチコートが赤色なの」

「クラスカラーの赤だよ~。カレンは跳躍系のダンスが主だから、裾がふわっとなった時に赤いの見えたらカッコいいかと思って」

 ケイトがそう説明して、カレンにLeap(弧を描く様な跳躍)をしてみるよう頼む。

 その場で軽く跳躍してみせたカレンに、女子全員がほうと溜め息を付いて見惚れた。

「凄いっ! ケイト、さすが未来のトップデザイナーっ」

「まあね~?」

 ケイトはまんざらでもなさそうに、鼻の下を指で擦る真似をする。

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