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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第97章        

「それに女子みんなに入った、胸の赤いライン。これめちゃくちゃ脚長効果ある!」

「そう、視線が上に行くからね~。後、この赤い薔薇のコサージュは、それぞれ好きなように使って?」

 ケイトはそう言いながら女子みんなに、5cm大の赤い薔薇の飾りを配っていく。

「好きなように?」

「うん。ヘアゴムに付けてもいいし、カチューシャに付けてもいい。ワンポイントでみんな自由にやっていいよ~」

 乙女心を擽るそのケイトのにくい演出に、女子がきゃあと盛り上げる。

「素敵っ え~どこ付けよう?」

「私はヘアゴム~!」

「ヴィヴィ、どうしようか?」

 カレンが配られた赤い薔薇を手に、自分より10cm低いヴィヴィを見下ろす。

「そだねえ。カレンは手首とかに付けたらいいんじゃないかな? クリスと両手繋ぐソロの時、目立って」

 ヴィヴィはそう言うと、自分の手にしていたそれをカレンの手首に当ててみる。

 アイリッシュ・ダンスは上半身をほとんど使わないので、その飾りが手首にあるだけで、たまに使う腕の動きがより引き立ちそうだ。

「手首? ああいいかも。ヴィヴィは?」

「ん~、首でも付けようかな? チョーカーみたく」

 ヴィヴィがそう呟いた時、着替え終わった男子達がぞくぞくと多目的ルームに帰ってきた。

「わあ、カッコいい~っ!!」

 男子の衣装を認めた女子が、途端に黄色い声を上げるが、

「おお、馬子にも衣装っ!」

 女子のワンピ姿を見た男子は、そう照れ隠しのようにからかう。

「なんだと~、やるか~?」

 女子の中で一番威勢のいいジェシカが、目の前にいたジェイソンにそう喧嘩を吹っ掛ける。

「え~……、せっかく褒めたのに」

「それ、褒めてないからっ」

 ジェイソンとジェシカのやり取りに、皆が笑いに包まれる。

 男子の衣装は黒シャツに黒パンツ、赤いネクタイに赤い細ベルト。

 ソリストのアレックスとクリスは、袖が広く膨らんだシャツで、赤い蝶ネクタイと赤いチーフを胸にしていた。

「写真撮ろうぜ~、写真っ!」

「テッド、動画撮ってくれてる~?」

「もっちろん! キメ顔して~?」

「こうか?」

「あははっ トーマス、バカっぽいっ!」

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