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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第97章
皆が一通り楽しんだのを確認したヴィヴィは、腕時計で時間を確認すると、口の横に両手を添えて大声を出す。
「じゃあみんな、動きにくくないかチェックするため、着たまま通してみるよ~!」
「「「OK~っ」」」
弾ける笑顔と共に帰ってきたクラスメイト達の返事に、ヴィヴィはにっこりしたのだった。
その日の練習を終え、衣装から制服へと着替えていると、隣にいたカレンが「ふふ」と笑った。
「ん?」
「うん。やっぱりヴィヴィは、こっちのほうがいい」
「え? こっち?」
カレンの言葉の意味が咄嗟に分からず、ヴィヴィはこてと首を傾げる。
「ノーメイクの方が、いいってこと」
「ああ……」
親友のその指摘に、ヴィヴィは頷く。
昨日の月曜日、以前のようにノーメイクできちっと制服を着こなしたヴィヴィが登校すると、クラスメイト達はまた驚いた。
『あれ、ヴィヴィ、お化粧は?』
どうやらケイトは、マスカラとグロスしか着けてこないヴィヴィの為、今日も化粧ポーチを手に準備してくれていたらしい。
『ん……。面倒くさくっちゃった』
その日の朝、ベッドの上でクリスと約束した事は口にせず、ヴィヴィはそう本心を零す。
『え? もう高校デビュー、終了?』
たった1週間で元のヴィヴィに戻ってしまって、女子達はちょっとつまらなさそうに見えた。
『うん。自然に還ろうと思って。ん~~、原点回帰?』
そのヴィヴィの返しは、「野生動物かよっ!?」「WWF(世界自然保護基金)かよ?」「黒柳徹子かよ?」と散々突っ込まれた。
『みなさん、こんにちは。徹子の部屋でございます。あ、CM行きますか、そうですか』
ヴィヴィは鼻を指で摘まみ、捨て身の“ものまね”を披露したのだが、みんなには本当に不評だった。
「「「全然、似てない……」」」
昨日の事を思い出して、“ものまね”のあまりの不評加減に、眉をしかめたヴィヴィだった。
「ふうん。まあ、ヴィヴィはそのまんまがナチュラルで、一番可愛いしね?」
「そ?」
カレンのその言葉に、ヴィヴィはきょとんとする。