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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第97章
「あはは、私もっ」
泣き出しそうなヴィヴィを、そう明るく笑い飛ばして抱き締め返したカレン。
そんな2人を、いつの間にか制服に着替えて戻ってきた男子達がからかう。
「お前ら、なに2人で浸ってんだよ?」
「そうだぞ~っ お祭りの前にしんみりするな~っ」
そういう彼らだって、残された時間が僅かである事を思い出した様に、少し寂しげだった。
2人は抱擁を解くと、ヴィヴィが弾ける笑顔をみんなに向ける。
「あはは、そだね! じゃあ、委員長、いつもの、やっちゃいますか~っ?」
「おっ 久しぶり! いいねえ」
ヴィヴィの呼び掛けに、委員長が乗ってくる。
勢揃いしたクラスメイトと、そしていつの間にやら来ていた担任で、多目的ルームに円陣を組んだ。
「OK Let’s go guys――. Say Yeah!」と委員長。
「「「Yeah!」」」
「Say HA! HA! HA!」
委員長の呼び掛けに、皆が腹の横で拳を作って叫ぶ。
「「「HA! HA! HA!」」」
「Come on now,ケイト,マイク」
「ミランダ,カイル」
「メアリー,ケン」
「アンナ,トーマス」
「カレン,アレックス」
「ケイリー,テッド」
「ジェシカ,ジェイソン」
「マリ,ジーン」
「ミリー,ハリー」
「ヴィヴィ,クリス & ケインズ先生!」
皆がそれぞれの片手を出し合い、1つにする。
「「「Everybody go together now!!! Hu~~っ!!!」」」
そう叫んで円陣を組んでいた腕を振り上げた一同には、先程までのしんみりした表情はなく、皆が4日後に行われる学園祭へと向けて「楽しみでしょうがないっ!」といった表情を浮かべていた。
その日の夜。
リンクから戻ったヴィヴィは、就寝準備を済ませると、朝比奈とお裁縫をしていた。
「お嬢様、違います。それではコサージュが縫い付けられていません」
ヴィヴィの横、ソファーに座った朝比奈が、黒いリボンと赤い薔薇飾りに格闘する主を教える。
「え~? どこ縫えばいいの?」
家庭科の授業、1の評価のヴィヴィが、目を白黒させながら、針を構える。