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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第97章        

 そしてヴィヴィは更に気付く。

(ヴィヴィも、上級生と下級生からしか、告白されなかったや……)

 小さな頃から当たり前に享受してきたクリスのシスコン振りが、まさかここにきて仇となるとは。

 ヴィヴィは薄い胸の前で両腕を組み、う~~んと唸る。

 自分はどうでもいい――もう恋愛なんてこりごりで、一生独身で貫くだろうから。

 しかしクリスはこのままではいけない気がする。

 ヴィヴィは自分達の事を “恋愛不適合者” と揶揄したが、当たり前だがクリスにはそうあって欲しくは無い。

「う~~ん……、どうしたものか……」

 そうヴィヴィは真剣に悩んでいるのに、今度は右頬に暖かなキスが降ってきた。

「~~っ 今度はなにっ!?」

「ん……? 『うんうん』下らなさそうな事で悩んでるヴィヴィが、物凄く可愛かったから……」

 クリスがしれっとそう返してきた言葉を聞き、ヴィヴィは組んでいた両腕を解き、拳を握り締めながら喚く。

「下らないとはなんだ~~っ!?」

 自分の足元で、地団太を踏みながら暴れる妹の頭をポンポンと叩いたクリスは、すくっと立ち上がり皆を振り返る。

「はいはい……。じゃあみんな、最後に通して、リハ終わりにするから……。気合い入れて行こう……」

 総監督のクリスのその呼び掛けに、クラスメイト達が「うぃ~っす」「は~い」とそれぞれ声を上げる。

 そして何故か妹を舞台上から、ひょいっと軽々持ち上げたクリスに抱っこされたヴィヴィは、その腕の中でカレンと目が合った。

 呆れ顔で双子を笑って見守っていたカレンに、ヴィヴィは頭の中で、

(あ゛ぁ~~っ またクリスの婚期が晩婚にずれ込んだ~~っ orz)

と本当に下らない事を思っていたのだった。




 
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