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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第97章        

 学校から戻った双子はリンクへ直行し、それぞれNHKのインタビューを受けていた。

「こんにちは~! ご無沙汰しています、荒河さん」

 ミーティングルームに姿を現したヴィヴィは、スポンサーの名が入った強化選手の纏うジャージに袖を通し、今日のインタビュアーの荒河静香に挨拶する。

「久しぶり~。本当、最後に会ったの、世界選手権?」

 いつまでもすらりと美しいトリノ五輪金メダリストは、クールビューティーながら嬉しそうに、ヴィヴィとの再会を喜んでくれた。

「だと思います。ええと、あれが3月半ばだから……。わっ 7ヶ月ぶり? たぶんテレビに出るのも、それぐらいぶりです」

 双子は受験に専念するために、ヴィヴィは3月半ばの世界選手権以降、クリスは4月半ばの国別対抗戦以降、取材は一切断っていた。

 今回も、出場するNHK杯に関する物なので取材を受けるが、今後も大学受験が終わるまで、そういう状態が続く。

「カメラ、緊張する?」

「めちゃくちゃっ 心臓バクバクしてます」

 両手で胸を押さえておどけるヴィヴィに、周りのスタッフからも笑いが起きた。

「あはは。じゃあ、早速色々と、根掘り葉掘り質問していきたいと思います」

 荒河のその言葉に、ヴィヴィは少々怖じ気付きながらも笑った。

「お、お手柔らかにお願いします」

「まず、NHK杯まで1週間を切りました。今の率直なお気持ちを聞かせて下さい」

 定番の質問に、ヴィヴィは少し逡巡し、薄い唇を開く。

「そうですね。今シーズンはNHK杯をはじめ、色んなことに初挑戦する機会だと思っています。まあ……昨シーズンの世界選手権以降、ショーも試合も出ていなくてそういう状態から、半年ぶりにお客さんの入っている会場で試合するのも、もちろん初めてですし……」

「そうですね」

 荒河のその柔らかい相槌に、ヴィヴィも頷く。

「NHK杯と次の中国杯の間に4日間しか空いていない、タイトな試合スケジュールも初めてで……。そういう普通ではない状況で、どれだけコンディションを保ちつつ、メンタルも保ち続けられるか……。うん、そういう挑戦でもありますね……」

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