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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第98章           

「………………」

 ここ名古屋に移動してから、兄とはメールのやり取りしかしていない。

 普通の文章を送ってくる匠海に対し、一言だけ突っ込むようなヴィヴィの返信。

 それでも兄はメールを送り続けてきた。

 ヴィヴィは自分の胸元を見つめる。

 緩く巻かれた金色の髪が片方に下ろされたそこには、前まであった筈の金色のネックレスは無い。

 匠海と行った葉山の別荘から、喧嘩別れして帰ってきた翌朝。

 バスルームの洗面台の引き出しの中に放り捨ててから、ヴィヴィは馬蹄型のそれを一度も目にしていない。

(もう、ヴィヴィには必要ないから……。今回のNHK杯も、あれがなくても普通に勝てた……)

 ヴィヴィはそう自分に言い聞かせるように頭の中で呟くと、剥げかけていたベージュの口紅を引き直し、化粧室を後にした。

 アイスダンスの渋谷兄妹や、ペアの棚橋・マーヴィン組、そして男子シングルの羽生結弦や火野龍樹との再会。

 そして渋谷兄妹のコーチをしている、マリーナ・ズエワ――SPの振付師との再会を喜んだヴィヴィは、その後、関係者との挨拶を済ませ。

 双子は21:00の終了時刻きっかりに、連れ立って席を立った。 

「あれ、双子ちゃん。もしかして今から東京、帰るの?」

 同じテーブルにいたペアの下城舞が、そう双子に声を掛ける。

「うんっ 明日から、ガッコ!」

 ヴィヴィが元気にそう言いながら、ゴールドのクラッチバックと、椅子の下に置いていた記念品等の入った紙袋を持ち上げれば、

「……です……」

と隣の席だったクリスも同様に、荷物を纏めた。

「あ~……、高校生は大変だ。頑張れ~!」

 舞のパートナー 兼 彼氏の成田達樹のその励ましに、ヴィヴィは笑ってみせる。

「ありがとうっ じゃあまた! 2人とも、リンクで」

「また、明日……」

 双子はそれぞれ関係者に退席の挨拶をすると、控室で手早く着替え、牧野マネージャーと柿田トレーナーと共に、新幹線に飛び乗った。

 23時過ぎに東京駅へと到着した双子は、そこで牧野と柿田と別れ、迎えに来ていた運転手に屋敷まで連れて帰られた。

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