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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第99章
10月28日(水)。
早朝5時。
素晴らしい目覚めで起床したヴィヴィは、身体も軽くすっかり元気になっていた。
自分でおでこを触ってみても、熱くも冷たくもない。
ベッドから飛び出たヴィヴィは、早速スケートの準備をしようと寝室から出た。
ちょうどリビングの扉を開けた朝比奈と出くわし、ヴィヴィは元気いっぱいに笑う。
「おはよう、朝比奈~!」
「お嬢様……、おはようございます。すっかり顔色が良くなられましたね」
心底ほっとした表情の朝比奈に、ヴィヴィは大きく頷く。
「うんっ もうすっかり元気~。2日間看病してくれて、本当にありがとう」
ぺこりとお辞儀をしたヴィヴィに、朝比奈も「滅相もございません」と主に頭を上げさせた。
「クリスは?」
「今からご様子をお伺いに行くところです」
そう言う朝比奈と一緒に、ヴィヴィは双子の兄の様子を見に行くことにした。
2回のノックに、クリスの寝室から「起きてる……」と返事が返ってくる。
「クリス~っ 気分はどう?」
そう言いながらクリスの寝室に飛び込んだヴィヴィは、ベッドの上にぴょんと飛び乗ると、既に上半身を起こしていた双子の兄の顔を覗き込む。
「すっかり、元気……。ヴィヴィも、元気そう……」
妹のおでこに掌を添えながらそう呟いたクリスに、ヴィヴィは微笑む。
「うん。ヴィヴィ、今からリンク行くけど、クリス、どうする~?」
しかしそのヴィヴィの発言は、速攻 朝比奈に却下された。
「冗談はお止め下さい、お嬢様。お2人とも病み上がりなのですよ? それに台風が上陸しておりますのに、外に出るなどもっての外です」
その朝比奈の指摘に、双子は不思議そうに互いの顔を見合わせ、また執事に視線を戻し口を開く。
「「台風……?」」
「ええ。中国でもお聞きになっていらっしゃったでしょう? 23日に沖縄に上陸し、現在はちょうど伊豆諸島近海にいます。公共交通機関も大幅に乱れ、本日はBSTも臨時休校ですよ」
朝比奈のその説明に、ヴィヴィはこてと首を傾げる。
「え~……。クリス、知ってた?」
「ううん……。台風、来てるなんて、誰も言ってなかった、よね……?」
そう確認し合った双子だったが、次の瞬間、何かに気付いたように零した。
「「……あ……」」