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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第99章          

「うぅ……っ ジェ、ジェシカと、ジェイソンって……」

「ああ、付き合ってるよ」

「……~~っ!!」

 自分の言葉を受け継いでけろりとそう答えたケイトに、ヴィヴィは悶絶する。

「さっき、そこでイチャついてたよね~。……って、やっぱり気づいてなかったんだ、ヴィヴィ」

「ぅう……っ い~つ~か~らぁ~っ!?」

 ヴィヴィがそう悔しそうに唸るのは、決して2人が付き合っているのが嫌という訳ではなく、どうして自分は気付いていないのに、そう“周知の事実”扱いされているのか? という事についてだ。

「ん~と、半年くらい前から?」

 そう言って黒いかつらを被った頭を捻ったケイトに、ヴィヴィはまた洗面台に両手を付いてうな垂れた。

「Ouch………… orz」

「あはは! ヴィヴィってホント、色恋沙汰には鈍感だよね~っ そうだ! みんなにも報告してこ~ようっ!」

 ゲラゲラ笑いながら化粧室を出て行くケイトに、ヴィヴィは慌ててその背を追ったが。

 結局クラスの中で自分だけが2人の関係に気づいていなかった事実を知り、そして予想通り皆に散々からかわれ。

 すっかり拗ねたヴィヴィは、じと目で皆を見渡し、メドゥーサの決め台詞を口にしたのだった。

「お前達~……っ このメドゥーサ様が、みんな揃って石にしてやる~っ!! しゃ~~っ (◉"◉)!!」






 ハロウィンパーティーから帰宅したヴィヴィは、メデューサの仮装を脱ぎ去り、長めに湯に浸かった。

 今は23:30。

 先程兄から届いたメールでは、匠海の帰宅時刻は24:30を過ぎるかもしれないとの事だった。

『仕事で横浜に来てたんだけど、事故渋滞にはまって。

 どうしても抜けられそうにない。

 後、1時間は掛かりそうなんだ。 

 待たせるの悪いし、今日は待たずに寝て。

 本当にごめんな。』

 その兄からのメールに対し、ヴィヴィは、

『気を付けて、帰ってきてね』

と返信した。

(事故ったのがお兄ちゃんじゃなくて、本当に良かった……)

 そう、思いながら。
 
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