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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第99章
「ああ、ヴィクトリアの香りだ……。甘いだけじゃなくて、爽やかな甘酸っぱさ……、お前そのものの、香り……」
高い鼻筋を自分の喉元に擦り付けながら、匠海が甘く囁き始める。
(やっ やだよぉ……っ 匂いなんて、嗅がないでぇっ)
「お、にいちゃっ ……、やっ やだよぉっ!!」
あまりの恥ずかしさに、自分の口から発される声が、泣き声同然の弱々しいものになる。
「ずっと、味わいたかった……。可愛らしくさえずる、ヴィクトリアの唇……」
「えっ!? んんっ! ぅ……っ ふぅっ」
強引に押し付けられる唇に、ヴィヴィは大きな瞳が零れ落ちそうなほど、瞳を見開いた。
しばらくは妹の唇の弾力を楽しむように、押し付けられるだけだった兄の唇が、やがてちゅ、ちゅっとその輪郭を吸い上げ始めた。
「あ、朝比奈……っ」
(た、助けて――っ!!)
ようやく発せられた助けを呼ぶヴィヴィの声は、軽く兄にあしらわれる。
「朝比奈は居ないよ。俺がさっき下がらせた」
「……――っ」
助けが来ないと悟ったヴィヴィは、がむしゃらに四肢をバタつかせ始めた。
大きな革張りの椅子の上で暴れ始めたヴィヴィを、匠海が軽々と掴み上げ、広いデスクの上に乗せて押し倒してくる。
「いやっ や……っ 触らないでっ!!」
両腕を突っ張って兄の肩と胸を押し返し、デスクの上で両脚をばたつかせて、兄の腰で押さえつけられる拘束を解こうと踏ん張る。
けれど、その華奢過ぎる両腕はあっさりと掴み上げられ、両脚はさらに兄の腰で圧迫され、簡単に動きを封じ込められてしまった。
「いい子だから、暴れないで、ヴィクトリア」
そう命令しながら、胸元、首元とヴィヴィの肌の匂いを嗅ぐ、匠海の息の粗さが耳につく
「いやぁっ!! やっ 離し……っ てっ!」
首筋に吸い付く唇と、耳の後ろを辿ってくる舌、その生々しい感触に、ヴィヴィの身体は恐怖を感じてがたがたと震えだした。
(どうして? なんでっ!?
お兄ちゃん、言ってくれたじゃない……、
「お前が良いと言うまで、絶対に触れない」って。
あれは……っ あれは、嘘だったの……?)
そう心の中で兄を問い詰めている妹に、匠海はその腕の拘束を解いて大きな掌でヴィヴィの乳房を包み込んでくる。
「――っ!? ひっ いやっ いやぁっ!」