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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第99章          

「え……? もっと、奥までって? ああ、エッチな子だ」

「ひゃぅううっ あっ あ……ぅん」

 革張りの椅子に座りなおした兄の腰に、ゆっくりとしかし確実に、ヴィヴィの腰が落とされていく。

(やだぁ……、やだっ 太いの……っ 凄、ふとい、の……っ)

 やがて最奥近くまで埋め込まれた兄の剛直は、既にびくびくと震え始めているのが、受け止めているヴィヴィにも分かった。

「凄いよ、ヴィクトリアの中、俺に纏わりついて……っ」

 そう囁かれながら兄の胸の中に抱き込まれ、ヴィヴィの薄い胸がどくりと大きく脈打つ。

「ぁ~~っ あっ あ、だめぇっ」

(気持ちい……どうしよう……、気持ちいい、よぉっ)

 何故だろう。

 兄に抱き締められた途端、苦しさが勝っていた蜜壺が、まるでスイッチを切り替えられたかの様に、甘い疼きを訴え始めた。

「びくびくしてる。まだ全然動かしてないのに。イきそうなんだな?」

「ぁあんっ やぁあっ」

 腰がアイスクリームにでもなったかのように、兄の熱さにそこから蕩けさせられ、ヴィヴィは匠海の肩に額を擦り付ける。

 下手をすると「気持ちいい」と口走ってしまいそうで、ヴィヴィは無心に兄の首筋にしゃぶりついた。

 寛げられた襟の間から立ち上る、兄自身の香りに心が震える。

 どくどくと加速する心臓が怖くて、ヴィヴィは兄のスーツの胸に自分のそれをぺたりと寄せた。

 手首の拘束が、今になって口惜しい。 

(お兄ちゃんに、もっと抱き着きたいの……っ)

 そんな可愛い様子を見せ始めたヴィヴィに、匠海は心底嬉しそうに言葉を紡ぐ。

「ヴィクトリア、好きだよ。お前も言って? ほら、俺のこと、大好きって」

「や……っ」

 ヴィヴィは、躰は快楽に従順になり始めたにも関わらず、そこは頑なに拒絶する。

(だって、分かんないんだもん……、

 まだ、自分の気持ち、解んないんだもん……っ)

「ほら、言わないと、このままイかせてやらないぞ? お前の大好きな、ゆさゆさ。してやらないぞ?」

「……っ やぁああんっ」

「どっちが嫌なんだ? ゆさゆさしないのが? それとも、「俺が好き」って言うのが?」

 兄はそう意地悪く尋ねながらも、分かっているのだ。

 ヴィヴィが嫌がっているのが、その両方だという事を。

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