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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第99章
「――っ!? だめっ ホントに、駄目っ!」
そう必死で言い募る妹に、匠海は少し哀しそうに、眉を顰める。
「どうして? いつも俺のこと、ここで受け止めてくれていただろう?」
以前の情事を思い出させるように、自分の陰茎を深くまで収めている妹の薄い腹を撫でる匠海に、ヴィヴィは恐怖に引き攣った顔で説明する。
「の、飲んでないの……っ 試合終わってから、飲んでない――っ!!」
そう叫ぶように発したのが悪かった。
全身に力を籠めたヴィヴィは、もちろん膣内の兄の陰茎も、ぎゅうと喰い絞めてしまい――。
「え? ぅあっ ……っ で、出るっ」
事態を把握して、すぐさま妹の膣から自分の陰茎を抜き取ろうとした匠海は、それでなくてもきつい膣内で、ヴィヴィの強い締め付けに抗えず。
「ひ……っ やぁっ だ、駄目っ うぁああん――っ!!」
最奥近くでどくどくと吐き出された兄のものに、ヴィヴィは自身も達しながら絶望の叫びを上げた。
(そ、んな……、そんなっ ダメっ あ、赤……ちゃん――……)
ヴィヴィの目の前が、どんどんと昏く陰っていく。
墨汁がぼたぼたと降り注ぎ、塗り潰されるように徐々に無くなっていく、自分の視界。
そしてその視界の全てが黒一色で覆われそうになった、その瞬間。
革張りの椅子の上、ヴィヴィはびくりと大きく痙攣しながら、覚醒した。
かっと見開かれた灰色の瞳。
ナイトウェアに包まれた全身を、ぐっしょりと濡らす、冷たい汗。
そして、頬を伝う、生ぬるい涙。
(…………、……ゆ、め……?)
硬直した様に指一本動かせなかった身体が、徐々に動く様になり、ヴィヴィは真っ先に書斎の中を見回した。
10畳ほどのそこには、自分以外に誰もおらず。
そして開け放たれたままの書斎の扉の先は、以前と変わらず真っ暗闇のリビングが続いていた。
「……夢……、だったん、だ……っ」
ヴィヴィは革張りの椅子の肘置きをぐっと握りしめると、立ち上がり、ふらふらと頼りない足取りで兄の私室を後にした。
そして自分のバスルームへと逃げ込む様に入ると、洗面台の作り付けの棚の中を、焦った様に掻き回す。