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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第99章
錠剤のシートを見つけたヴィヴィは、震える指でその隅の1錠を取出し口に含むと、洗面所の水でそれを飲み下した。
それで少しは落ち着きを取り戻したヴィヴィだったが、薄い唇からふぅと息を吐き出した瞬間。
どくどくと膣内で吐精される生々しい感触を思い出し、ぐしゃりと顔を歪めた。
「………………っ」
(……もう、生理……、ほとんど、終わっちゃって、るし……っ こわ、い……、怖いよっ)
ヴィヴィはその場に崩れ落ちるように床にへたり込むと、錠剤のシルバーのシートを握り締めて泣き出した。
全ては夢の中の出来事と分かっているのに、許せなかった。
自分を待ってくれなかった兄に。
結局は快楽に弱くて、流されてしまった自分に。
そして、
「お兄ちゃんが好きだよ」と、求められるままに口走ってしまった、己のその弱さに――。
11月1日(日)。
早朝からのスケートのレッスンを終えたヴィヴィは、帰宅してクリスと勉強に明け暮れた。
勉強している間は驚異の集中力を見せるが、休憩中はなんだか元気のないヴィヴィに、クリスは心配そうに「どうしたの……?」と尋ねてくれた。
その度に「何でもないよ~」と明るく答えていたヴィヴィだったが、就寝時間が近づくにつれ、その表情はどんどん曇っていく。
今日の午後――リンクでのレッスンが終了した頃、兄から一通のメールが届いていた。
『昨夜は、約束守れなくて、本当に悪かった。
ごめんな。
今日はちゃんと帰れるから、ヴィクトリアの話、
2日分、いっぱい聴かせて?』
その兄の謝罪のメールに対し、ヴィヴィは返事を返さなかった。
お風呂から上がったヴィヴィは、いつものくるぶし丈のナイトウェアではなく、白と水色の太いボーダーの、もふもふ素材のパーカーとホットパンツを身に纏った。
セットのもふもふニーハイソックスを履こうとしたヴィヴィだったが、何故かそれを止め、脚の付け根からつま先まで露出した状態で、ハーブティーを淹れて飲んでいた。
いつも通り12時過ぎに現れた兄に、ヴィヴィは残っていたハーブティーを飲み干すと、カップをテーブルに置いて立ち上がった。