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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第99章
確か彼に最後に会ったのは6月の後半。
妹の円とリンクまで遊びに来てくれた真行寺の顔を、ヴィヴィは頭の中で思い出す。
「ああ。ちょうど昼時だったから、一緒にランチして」
「お元気、だった……?」
「とても。今、営業部らしいね。優しい奴だし、営業には押しが弱いんじゃないかと思ったけれど、意外や意外、素質ありそうで」
「……ふうん?」
兄のその説明に、ヴィヴィは思い出す。
そういえば社長令息の真行寺は、色々な部署を経験してから、最終的に経営企画に携わるという進路を口にしていた。
「あいつ、人の話訊くの、本当に得意だから。するする相手の心の内に入ってしまうんだよな」
そう言って思い出し笑いをする匠海に、ヴィヴィは同意する。
「あ……、分かる……」
「そう?」
「……きっと、マドカの、せい……」
「え……? 妹の、円ちゃん?」
兄の不思議そうな表情を見返しながら、ヴィヴィは腰を解すストレッチを再開した。
「うん……。マドカが失恋する度に号泣して、真行寺さんが慰めてあげてるらしくて。ふふ、そういうのには慣れてるって言ってた」
瞳を細めて懐かしそうに呟いたヴィヴィに、兄はふっと笑った。
「へえ。あいつらしいな」
「ふぅ……、熱く、なってきちゃった……」
ヴィヴィはそう呟くと、チーという軽い音を立てながら、もふもふパーカーのファスナーを下ろす。
ゆっくりとそれから腕を抜き取り、胸元に可愛らしい水色のレースが付いたキャミソール姿になったヴィヴィは、少し乱れてしまった長い金髪を指先で軽く整えた。
キャミとホットパンツだけというあられもない姿となったヴィヴィは、細長く真っ白な両脚を180度に開脚する。
両膝の上に左右の手を添えると、爪先を上に向け、上半身を少し前に倒す。
左右に腰を少し揺らして骨盤の位置を確認し、まるで胸を見せつけるようにぐっと背を反らしてストレッチをする。
きしり。
小さくベッドがきしむ音がしてちらりとそちらに視線をやると、兄が長過ぎる脚を組んだのが視界に入った。