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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第99章
11月6日(金)。
早朝5時。
ヴィヴィは目覚ましが鳴る中、iPadを抱える様にして目を覚ました。
昨夜、兄から渡された医師の診断書。
見せられた当初、ヴィヴィは兄の言う事を全く信じていなかった。
それどころか、余計に匠海が分からなくなっていた。
どうしてこんな小細工をする必要があるの?
何でそこまでして、自分がEDであると、ヴィヴィに信じ込ませたいの?
それを昨夜兄と別れてから、延々と繰り返し考えていたヴィヴィだったが、結論は導かれる事は無く。
ならば何らかの解決の糸口を見つけられればと、iPadで調べ始めたのは、EDのこと。
兄と躰の関係になるまで、ヴィヴィは年齢の割に、あまりにも男女の性行為について無知だった。
EDだと匠海に告白されても、正直いまいち解っていなかった――起たなくなる、という事以外。
そしてネットを使って調べた限り、EDになるには大きく2つの原因があるらしかった。
1.血管や神経に障害のある場合
2.心理的なストレスがある場合
1.には細かく分けて、加齢や生活習慣病、他の病気や怪我や投薬により、性器の血管や神経に何らかの原因が生じ、十分な勃起状態を維持出来ないというもの。
2.はストレスやうつ等、心に原因があるもので、20~40代の若い世代に多いという。
そして兄は、診断書からも分かるとおり、2.心理的なストレスがある場合 だった。
その中でも大きく2つに細分化される。
・現実心因(日常生活におけるストレス等が原因)
・深層心因(心の深いところの心理的原因)
前者はカウンセリングや投薬で、治癒が可能らしい。
しかし後者は、長期間の治療を要し、そして治癒が難しいケースが多いらしい。
そう――兄は後者だった。